可視化とマルチバンクを
ワンパッケージに

 世界100ヵ国以上で提供され、ユーザー企業は1000社、アカウント数は4万5000を超えるという「キリバ・エンタープライズ」は、前述した資金の可視化やマルチバンクアクセスの仕組みを提供するクラウドサービス(SaaS)だ。

 そのメリットは、第1にオンプレミス(自社保有)のシステムに比べて導入・運用コストが低く、グループ全体に展開しやすいクラウドサービスであること。第2に、現在の銀行取引を維持したまま、グループ全体で高度な資金管理・財務管理ソリューションの導入が可能なことだ。

 先ほども述べたように、日本企業では複数のシステムを抱える場合が多く、低コストで、グローバルに導入できるクラウドサービスのメリットは大きい。

 また、マルチバンクアクセスには、海外子会社が持つ銀行口座を本社が直接管理できるだけでなく、その時々に有利な預入先や運用先を選んで、資金を柔軟に移動させられるというメリットもある。

 副島氏によると、「2008年のリーマン・ショック以降、欧米の大手金融機関の破綻や経営不安説が相次いだことから、複数の銀行に資金を分散させる動きが世界的に広がった。海外では、信用リスク回避の目的でマルチバンクアクセスを利用している企業も少なくない」という。

 マイナス金利を導入する国が増える中、預金残高を減そうとしている銀行も増えている。マルチバンクアクセスを確保して、銀行との上手な交渉ができる環境を整えておくことも大切である。

 副島氏は、「グローバル全体の財務リスクを抑えるためには、本社に必要な情報がタイムリーかつ自動的に集められ、問題の把握、判断、行動が迅速に行える体制を整えることが不可欠。これを実現するためには、グローバルでの可視化とマルチバンクアクセスの仕組みづくりが非常に重要」と語る。

 キリバが提供するトレジャリー・マネジメント関連サービスは、そうしたグローバル企業のニーズにかなったものだといえそうだ。

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