コニカミノルタは、グローバル財務管理基盤の構築を目指して「キリバ・エンタープライズ」を導入。資金の可視化によるキャッシュの半減、効率的な為替リスクヘッジ、国内関係会社間決済のキャッシュレス化など、多方面にわたる成果が現れた。グループ全体の財務に関する意識改革が成功の礎となったようだ。
意外に大きかった
新興国通貨の影響
財務部長
大森弘之
複合機(MFP)やデジタル印刷システムなどの情報機器、ヘルスケア機器、産業用材料・機器など、幅広い製品やソリューションを全世界のマーケットに提供しているコニカミノルタ。売上高1兆117億円(2015年3月期)の約8割を海外が占め、特に米国と欧州での売上げが大きな割合を占めている。
同社が「キリバ・エンタープライズ」を導入したのは、グループ全体が持つ外貨ポジションの内訳をより正確でタイムリーに把握したいということがきっかけの一つだった。
コニカミノルタの財務部長である大森弘之氏は、次のように振り返る。
「2013年6月、当時のFRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が量的緩和の縮小と引き締めを行うと発言し、世界の金融市場が動揺した『バーナンキ・ショック』によって、当社の外貨ポジションも少なからぬ為替差損を被った。欧米の売上高比率が高いので、ドル、ユーロについてはある程度リスクヘッジを行っていたが、このショックによって、当社グループが保有するトルコリラやブラジルレアル、ロシアルーブルなどの新興国通貨からも想定以上の為替差損が発生、グローバルベースでの十分な為替管理ができていないことに気づいた。海外子会社が新興国通貨建てのポジションをいくら持っているのかを本社が正確かつリアルタイムに把握し、管理することの重要性を痛感した」
当時コニカミノルタは、2014年度からスタートする中期経営計画「トランスフォーム2016」の策定作業を進めており、財務分野の中期計画に「エクセレント・カンパニーにふさわしいグローバル財務管理基盤の構築」(大森氏)を目標の一つとして盛り込んだ。そして、高度なグローバル財務管理基盤を有している企業からのアドバイスも参考にしつつ、財務中計を実現するソリューションとして、クラウドのトレジャリー・マネジメント(財務管理)アプリケーションであるキリバ・エンタープライズを導入した。