事業ニーズに即応する実行スピードが必要

 ワークデイは人事変革のポイントとして3点を重視している。データ活用とスピーディな行動、一人ひとりの能力の最大化である。そして、これらの領域をサポートする諸機能をサービスに実装し提供している。

 第1に、人事におけるデータの活用。ワークデイを導入すれば個々人のパフォーマンスや人事考課、昇進など人事に関するさまざまなデータを素早く参照することができる。

 「経営者やマネジャーなどの役割に応じて、スコアカードやスプレッドシートなどの形でわかりやすくデータを提示します。経営者であれば、チェックすべき指標を一瞥するだけで十分でしょう」と宇田川氏は言う。

 ワークデイ上であらかじめ設定した閾値をもとに、現状の指標が緑や黄、赤などの色で示される。それを見た経営者は「緑から黄色に変わったけど、何かあったの」と担当部門に聞けばいい。担当者には当然、データに基づく説明が求められる。上層部がデータを重視するようになれば、現場にもおのずとデータドリブンの文化が根づいていくはずだ。

 ワークデイが実現するデータ活用の一例として、タレントインサイト分析がある(右写真)。パフォーマンス軸と離職可能性の2軸に従業員をプロットして、対策を促す仕組みだ。特に、離職可能性の高いハイパフォーマーに対しては素早い対処が必要だ。昇給や別の部署への異動といったアクションも、ワークデイ上の操作で完結することができる。

 第2に、スピーディな行動。問われるのは、事業の戦略・計画に即応する人事部門の能力である。

 新規事業を例に取ると、立ち上げ期と成長期、安定期では求められる人材のタイプが異なる。人事部門はニーズに対応する人材を用意しなければならない。

 「事業をすぐに立ち上げたい時、適切な人材が不足していれば外部からの採用が必要になるでしょう。成長期や安定期向けの人材がほしい場合には、時間的な余裕があるはずなので、内部育成で対応できるかもしれません。いずれにしても、個々人の経験や能力を可視化してその活用を支援するタレントマネジメント、リクルーティングや育成などのシステムが一体化したワークフォースプランニングが求められています」(宇田川氏)