タレントマネジメントからピープルイネーブルメントへ

 第3に、一人ひとりの能力の最大化である。計画的な適材適所の実現は、人事システムの重要な役割。タレントマネジメントの仕組みを利用している企業もあるが、ワークデイはもう一歩踏み込んだシステムを提供している。そのコンセプトを、宇田川氏は「タレントマネジメントからピープルイネーブルメントへ」と表現する。

 「適材適所というだけでなく、ワークデイは一人ひとりのいっそうの成長を促すピープルイネーブルメントを目指しています。そこにはエンゲージメント、エンパワーメント、適材適所、能力開発という4つの要素があります」

 先進国の中で、日本企業のエンゲージメントスコアは最低レベルといわれる。不満を持ちながら、仕方なく働いている社員が多い。社員がいきいきと働ける職場づくりは、イノベーション創出のカギだ。また、現場の自主的な判断を許容し、個々人の能力が十二分に発揮されるよう促すことも重要。こうしたエンパワーメントの考え方に加えて、ワークデイは適材適所や能力開発をサポートする仕組みも備えている。

 現状、日本企業は膨大な人事データを蓄積しているが、それを戦略的に活用しているかというと疑問だ。ボトルネックになっているのが、長年使い続けてきた旧来型の人事システムである。

 大企業の場合、ERP製品を大幅にカスタマイズした人事システムを運用しているケースが多い。パッチワークのシステムは複雑に絡み合っており、データソースは分散している。こうした現状が、ビジネスニーズに即したデータ活用を難しくしている。必要なレポートを作成するために、担当者が何日もかけてエクセルの切り貼り作業を強いられるケースも多い。多くの企業の人事システムが、こうした非効率を抱えている。

 クラウドを前提に開発され、進化してきたワークデイは統合的な人事データベースと高速アナリティクスを実現する基盤を持ち、迅速なデータ活用をサポートしている。すでに世界で1100社以上が採用を決めており、日立製作所や日産自動車、ソニー、ファーストリテイリングなどの日本企業も多い。グローバル競争を人材力で勝ち抜こうとする企業の間で、ワークデイへの期待はますます高まっている。