中国経済、実業低迷・バブル肥大の残酷な真相上海の財政収入が急拡大しているが、実態は製造業など実業の低迷と金融・不動産業の活況という歪んだ構図だ

 あらためて上海の繁栄ぶりを証明する最新データが公表された。上海の財政局によると、今年上半期の一般公共予算収入は4196億元(約6兆3000億円)で、前年同期比で30.6%も激増しているという。

 この30.6%という数値は何を意味しているのか?今年上半期、全中国の財政収入増加率は前年同期比でわずか7.1%と低調で、中でも遼寧省は同増加率がマイナス18.6%と低迷している。つまり、今年上半期は中国にある都市の大半が、財政収入の面で伸び悩んでおり、特に東北、北西の各地方ではマイナスが際立っている。

 少数ながら大きな増加を維持している主要都市もあるが、せいぜい15%前後で、上海同様に24.4%という顕著な増加を見せているのは深センだけである。とはいえ、上海の財政収入総額が深センの2倍以上であることを考慮すると、やはり上海市政府の資金吸引力が全国でトップということになる。

喜べない上海の財政収入の増加

 問題は上海がどうやってそれを成し遂げたかということだ。

 GDP成長率において、上海はここ数年間ずっと四つの一級都市(北京、天津、上海、重慶)の中で最下位だっただけでなく、全国の大半の都市よりも低かった。

 人口増加率においても、珍しいことに上海は昨年マイナスに転じるという現象が見られた。

 一定規模以上の工業企業においては、総生産額と総利益がいずれもマイナスで、今年の1月から5月まで、6つの主要な工業分野のうち鋼材製造、設備製造、自動車製造、電子機器製造はいずれも後退し、石油化学とバイオ医薬だけが若干増加した。第2次産業の業績がこれほど悪いのは、4つの一級都市の中で上海だけであった。