元気があるのは金融と不動産だけ

 上海とは対照的に、深センにはとにもかくにも安定かつ程よく成長している実体経済があり、特に先端製造業は好調を維持している。それゆえ、上海経済のバーチャル化はとりわけ顕著だ。上海はすでに上海人のための上海ではなく、全国ひいては世界中の資本のための上海となっている。

 同市で大盛況の金融と不動産は、もはや現地の経済と住民にとってあまり縁のないものとなっているばかりか、全国的なバブル経済の影を感じさせる。これこそ、中国経済の最も華やかかつ最も非現実的な一面だ。

 この点において、上海経済はいわば中国経済の現状をそのまま反映した縮図である。米国の経済誌『フォーチュン』に掲載されたデータによると、中国の上位企業500社(営業収入で判定)の中で、最も収入の高い上位40社のうち、24社は金融業界の企業となっている。

 これらの金融企業の規模は他者を寄せ付けないばかりか、財務指標においても優位を保っている。商業銀行の純利益だけで、これら500社中の黒字企業の44.3%を占めている。そして、最も赤字を計上している企業53社のうち、IT企業3社以外はみな従来型産業の業界に属しており、特に鉄鋼とエネルギー業界の企業が多い。

 実体経済の深刻な不振とバーチャル経済の活況は、全国的な状況と上海の現状に見られる驚くべき一致である。中国経済に関して、『フォーチュン』誌は次のような懸念を示している。「金融業の大盛況は、中国経済のモデルチェンジおよびグレードアップによる必然的な現象である一方で、もし金融業の発展と実体経済との乖離があまりに大きくなれば、資金の空回りが引き起こす経済バブルが国家の持続的な発展を脅かす恐れがある。バブルを引き起こした1980年代の日本を教訓とするべきだ」。

 上海と深センの財政収入の激増、そして不動産市場の大盛況は、政府や金融・不動産投資家に手厚い利益をもたらしたとはいえ、その代償として全国的な金融バブルとその崩壊を招くかもしれない。しかし、その代償を負うのはバブルから利益を手にする者たちではなく、バブルに苦しめられる一般中国市民たちなのだ。

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