注目される東北特殊鋼のデフォルト

 最近、東北特殊鋼グループ(本社・大連)のデフォルト(債務不履行)問題が、債券市場および金融市場全体の一大事になっている。今回のデフォルトは、地方の国有企業のデフォルトの先駆けというだけではなく、空前の規模だということだ。

 2016年3月28日から4ヵ月の間に東北特鋼関連のデフォルトは7件あり、金額は47.7億元(約700億円)に及ぶ。東北特鋼が債権者に対して債務を株式に転換する「債務株式化」をしないと約束して、まだ1ヵ月余しかたっていないが、同特鋼は再び、一方的に「債務株式化」を通じて苦境脱出を計画し始め、市場に恐慌を引き起こしている。

 東北特鋼のデフォルトは、債券市場の持続的なデフォルト発生という大きな背景の下で発生した。これまで、中国における債券デフォルトの発生率は概ね低かった。しかし、生産能力過剰企業の製品需要が急速に低下し、加えて国有企業の改革を強化するために、政府当局は多数の「ゾンビ企業」の閉鎖に力を入れ、デフォルトはますます当たり前の行為になってきた。統計によると、今年上半期、国内非金融系企業のデフォルトは30件発生し、昨年の全件数を上回った。

 地方の国有企業のデフォルトが極めて危険なのは、それが工業部門の債務問題を金融システムに伝染させるからだ。すでに中国の金融システムにおける不良債権問題は、非常に深刻化している。工業企業、金融企業と投資家の間でいかにリスク分担をするかが、かなり緊迫した問題になっている。こうした背景の下で、いかにして東北特鋼問題を処理するかは、他の債券デフォルト処理に対するモデルとなろう。

 東北特鋼のデフォルト問題をどのような状況下で処理できるのかということが、問題解決の鍵である。まず、破産による清算は論外だろう。遼寧省の数少ない中核企業として、破産に踏み切ると、東北地区に国有企業破産の潮流と職工失業の潮流を作りだしてしまい、さらに社会不安を引き起こすことにもなり、中央政府、遼寧省政府ともにこの手法を採るのは明らかに不可能である。

 東北特鋼について言えば、最も現実的で、最も頼りになる解決策は、やはり債務の株式化である。

 しかし、債務株式化は東北特鋼の債券所有者の猛反対にあっている。債券所有者は地方政府の介入を求め、東北特鋼の代わりに債務の大部分を返済するよう求めているが、実際には全く現実的ではなく、地方政府がこの要求をのむわけがない。

 表面上、中国の金融、不動産業は、収益がたいへん高いが、実業経済の衰退が続く中で、果たしてこの金融、不動産の景気は維持されるだろうか。国の投資以外に、民間の投資がめっきりと衰退していき、国営企業の改革はほとんど進まず、また道路、教育、病院、介護などの成長分野では、国営企業の独占を少しも緩和しないままでは、金融、不動産業の収益の減退も、目前に迫っているように思われる。

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