この頃、中国経済が厳しい状況にあるという指摘が多い。実態は確かに厳しい。不動産バブルの状況も指摘されて久しい。中国経済の実態が厳しくなると、すでに深刻な問題になっている不動産バブルはより危険な水域に入り、いつ崩壊してもおかしくないはずだ。

 中国政府もこうした問題を認識し、不動産の在庫を処分するように昨年から呼びかけている。

 そのため、多くの地方都市では、特に居住者が極端に少なく「鬼城(ゴーストタウン)」と化している大型不動産開発現場で、在庫の不動産物件の投げ売り現象が見られている。当然ながら、こうした地方都市の不動産価格は下落を続けている。

近代的なビルが建ち並ぶ深セン。不動産価格は相変わらず高騰している

 しかし、一方で摩訶不思議な現象が起きている。上海、広州、北京、蘇州、武漢、広州、合肥、アモイなどの主要都市では、周辺の土地価格よりはるかに高い価格で土地を入札で確保する企業の行為が相次いで見られたのである。

 地方都市では不動産バブル崩壊の兆しが見られるものの、大都市圏では相変わらず、不動産価格の高騰は続いているというわけだ。

 目玉が飛び出るほどの価格で落札された土地は、中国語では「地王」つまり土地の帝王と呼ばれている。6月1日から3日までの3日間だけで主要都市では12件の地王が誕生している。取引が成立した金額は327億5000万元(約5400億円)だった。

深センから華為技術が出て行く?

 不動産が不合理に高価格な現状は、中国の実体経済の発展を脅かしている。そう認識し、批判的に見ている人は多い。

 また、あまりの地価高騰から、主要都市に事業拠点を構えることが企業経営を圧迫する要因になりかねない事態にもなっている。