激しい抗議行動のため、中国国内のロッテマートなどロッテ関連商業施設が閉鎖に追いやられている Photo:Imaginechina/Aflo

 3月上旬から始まった全国人民代表大会、政治協商会議は、中旬には終わるが、国内の政治経済が注目される中、中国世論は、「韓国企業」ロッテ(中国語では「楽天」)から離れたことはなかった。2月27日、ロッテが自社名義の土地を「終末高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)」に交換提供することを最終決定したというニュースが流れたからだ。

 ロッテは中国で多数のスーパーマーケット、百貨店を立地している。吉林省では、民衆がロッテマート(Lotte Mart)の入り口前に、「ロッテは今すぐ中国から出て行け」と書いた横断幕を掲げた。

 中国メディアは、今回のロッテの決定を「中国で金を稼ぐ一方、中国をお陀仏にする」行為と見なしている。政府系メディアも同様にロッテ批判のボルテージを上げている。

 新華社通信は次のように報じた。

 「ロッテが『国家の安全』を考慮して韓国軍側と土地交換をするのであれば、中国の消費者も同様に『国家の安全』に対する考えから、このような企業とその製品に『No!』と言うべきである。(逆に、今回の決定を撤回すれば)国内政治的にポイントを稼ぐことができ、ビジネス上の利益も得られるのだから、世界的にこれほどの『一挙両得』はないだろう。ロッテ自身がこれほど簡単明瞭な問題に解答できないというなら、中国の庶民が答案を出そうではないか」

 中国の人気SNS「微信(WeChat)で『人民日報・海外版』が運営するアカウント「侠客島」は、「ロッテよ!さらば」と呼び掛けた。

 ただし、「ロッテよ!さらば」という発言の真意は、「ロッテボイコット」を全国的な運動に転換すべきというものではなく、これはロッテが中国事業で挫折する確率が極めて大きい事件となるという指摘だ。