民族も言語も宗教も違う人々を抱えながら、なぜハプスブルク家は巨大な帝国を何百年も維持できたのか。その秘密は、強大な軍事力だけにあったわけではない。「同じ民族だから一つになる」という現代の国家観とは異なり、ハプスブルク家は地域ごとの違いを残し、ときに譲歩や妥協を重ねながら全体をまとめていた。だが19世紀、ナショナリズムの波がその仕組みを大きく揺さぶっていく。『地図で学ぶ「深読み」世界史』の著者が、ハプスブルク帝国の驚くほど現代的な統治の知恵と、その限界を読み解く。

続きを読む