リモートワーク導入に伴うバックオフィス効率化・デジタル化が日本中で進んでいる。ダイヤモンド社は2022年1月27日、ビジネスフォーラム「企業を新たな成長ステージへと導く バックオフィスの業務改革」と題したウェブセミナーを実施した。その中で、デジタルワークフローのプラットフォームを提供するServiceNow Japanの門脇拓弥氏が、組織の生産性を高めるためのシステム導入の課題と解決策について解説した。

コロナ時代の生産性向上には「エクスペリエンスへの投資」を

 ServiceNowは2004年に米国で創業。日本法人であるServiceNow Japanは13年から営業を開始している。組織の仕事の在り方や働き方を変えるためのプラットフォームをクラウドサービスとして展開する。グローバル顧客企業数は6900社、総売上成長率は、前年同期比で33%に達する。

 顧客の業務変革支援を行う同社グローバルソリューションコンサルティング本部アドバイザリーソリューションコンサルタントの門脇拓弥氏は、多くの企業にとっての課題として「システムのサイロ化」を挙げる。具体的にどのような不利益をもたらすのか。

ServiceNow Japan
グローバルソリューションコンサルティング本部
アドバイザリーソリューションコンサルタント
門脇 拓弥氏
2004年NTTコミュニケーションズに入社。クラウドサービスのインフラ・アーキテクト、プロダクト開発、プリセールスなどの業務に15年余り従事。顧客データを収集・統合するためのデータ基盤を提供するSaaS事業を経て、2020年9月にServiceNow Japanに参画。日々、技術営業担当のプリセールスとしてお客様に業務変革の提案をする傍ら、ハイブリッドな事業環境におけるデジタルワークフローを活用したプロセスの最適化を研究して最新の知見を発信している。

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、政府・自治体は各企業に出社比率削減やテレワーク推進を要請している。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出の有無により、いまだに事業活動は大きな影響を受けているが、たとえ事態が終息したとしても、おそらく元の「100%出社」に戻る企業は少なく、多くの企業が「ハイブリッド型のワークスタイル」を継続することになるだろう。

 しかし、そのハイブリッド型ワークスタイルは、「全員が出社できないことを前提に、急速に普及したいわば「社会実験的フェーズ」にあるため、必ずしもわれわれワーカーにとって理想の働き方にはなっていない」と門脇氏は指摘する。

 例えば、ITツールの活用においては、以下の問題が挙げられる。

●ビデオ会議(Microsoft Teams、Zoomなど)
同時参加が大前提。隙間なく予定が入り、時間の余白がなくなるため、考える時間も細切れになり疲弊しがちに。結果として、細かいタスクが後回しになり山積。

●チャットツール(Microsoft Teams、Slackなど)
非同期型ではあるが、本質的には片方向型。細かいニュアンスが欠落しうまく伝達されないこともある。そのため相談・調整・擦り合わせには向いておらず、部門をまたいで大きな仕事を確実に進めるには不十分。

「結果として、従業員の業務エクスペリエンスは、コロナ禍以前より低下した部分もあります。これから企業は業務エクスペリエンスを見直し、投資によって組織の生産性を向上させていく必要があるでしょう」(門脇氏)