木村健太校長
木村健太校長が学校の定義をあらためて問い直したのは、着任後間もなく。たどり着いた答えは「学校とは、生徒が未来をつくる場所」ということ。その確信が、千代田の起点になっている。「私たちは、生徒が人類の未来をつくる存在だと信じています。地球レベルで、まだ誰も解決していない問題に挑み、新たな価値を生み出す。それができることと疑いません」。
そのビジョンを具現化する場として、2025年度から2コース制を導入した。「研究コース」は、生命科学・医療・数学などを扱う12のラボに分かれ「0から1」の価値を生み出す。「開発コース」は農業・映像制作・地域創生などの分野の多彩なゼミで「1から10」の社会実装を担う。目指すのはアカデミア(学会発表・論文)、アントレプレナー(ビジネス・事業化)、ソーシャルイノベーション(社会起業・政策提言)の3方向から世界・人類へ貢献することだ。
ソニー・エリクソン元副社長でエクスペリアを生み出した坂口立考(りっこう)氏、ABCアニメーション元社長の映像プロフェッショナル・安井一成(かずなり)氏をはじめ各分野の第一線で活躍する外部講師陣が、生徒と共に本気で学びをつくる。コース以外にも多様なプログラムを展開。海外大学で学ぶ機会を提供する英ケンブリッジ大学短期留学や米スタンフォード大学重松教授に学ぶプログラム、スタンフォード×シリコンバレー研修。特別授業として行われた高1の「グローバルマインドセット」もその一例で、グローバル企業がビジネスパーソン向けに実際に使うトレーニングを、高校生向けにアレンジした“本物”の学びだ。
学びを「楽しみ」ながら
世界に新たな価値を生み出す
こうした多様な学びに一貫するのは、スペシャリストの育成だ。「得意なことを深く深く掘り下げていく。自分の興味・関心を突き詰めるうちに、他の分野にも関心が広がっていく。学問を突き詰める感覚を知ると、学びはどんどん進む」と木村校長。そのスペシャリストが集まることで、得意を生かして苦手を補い合うチームが自然に生まれ、そこからさらに好奇心が他の学びへの扉を開く。
この仕組みが生む変化は、学力にも表れる。数学の研究ラボに入った生徒は、入学最初の中間テストで数学は9点だった。それが3~4カ月後には80点を取り、模試でも学年トップに立った。「何のために学ぶか」が腑(ふ)に落ちたとき、生徒の視座は劇的に変わる。
そして千代田は「楽しさ」を何より大切にする。「まずはFunでいい。そこからInteresting、さらにExcitingへ──遊ぶように学ぶ環境をつくることが私たちの仕事。人類が積み上げてきた知見を自分のものにして『次の話をする』。巨人の肩の上に立ち、未来を切り開く。それが千代田の学びです」と木村校長。
「未来をつくる仲間を募集している」という木村校長の言葉は、受験生へのメッセージであると同時に、生徒と共に人類の未来をつくるという、同校の宣言だ。
