出岡由宇(いずおかゆう)入試対策部長
「楽しくなければ『学び』じゃない」。ワクワクするモットーを掲げる多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校。活気ある校内には、至る所に楽しい学びの仕掛けが見つかる。
例えば、エントランスの電光掲示板。ゲームのスコアランキングが表示されている。これは古文の教員が自作した語彙力を競うゲームのスコアで、生徒たちは4択などで遊びながら語彙を増やし、高得点者は掲示板に表示される仕組みだ。物理室には「水平衝突実験装置」と名付けられたビリヤード台が鎮座。「主にビリヤード同好会が使っていますが、今度はダーツマシンも置きたいと生徒たちが言っていて、それには『斜方投射機』と名付けようか、と話しています」と、入試対策部長の出岡由宇(いずおかゆう)教諭は笑う。
圧巻は学校の専任教員を紹介する「たまひじ先生トレーディングカード」(写真)。学校説明会で配布したところ大好評だった。狙いは教員に親しみを持ってもらうことと、面白いことをどんどんやっていく校風を伝えること。こうした挑戦をいとわない風土が聖ヶ丘にはある。
以前は新しいことに挑戦するのに、むしろ消極的な雰囲気もあった。潮目が変わったのは出岡教諭らが音頭を取って「教科主任会」を立ち上げてからだ。
「教科主任会は管理職や各教科主任が集まり、授業の在り方を議論する場。それまでは教員同士の会議というと、ほとんどが業務連絡だけでしたが、教科主任会で改めてじっくり話し合うと、どの教員も熱意はある。しかし、考えていることをうまく口に出せていないのだと気付きました。そこから議論が活発化して、とにかく本音で話し合うことを確認し、まずは中学生の夏期講習から、授業も自分たちも変えていこうということになり、始まったのが『A知探Q(えいちたんきゅう)の夏』です」(出岡教諭)。
「A知探Qの夏」で
楽しい学びを体現
A知探Qの夏は、今年で8年目。夏休み4日間の探究講座で、全教員が自分の「楽しい」と感じるテーマで講座を開く。例えば、釣り好きの数学の教員は生徒と共に釣りをする講座を、ボクシングで国体に行った体育の教員は、ボクシング入門講座を開く、といった具合だ。「結局、教員自身が楽しまなければ生徒を楽しませることはできません。講座に生き生きと参加し、時に成長する生徒の姿を目の当たりにして、楽しみながら学ぶことの重要性が全教員の共通見解になりました」(出岡教諭)。
中学で探究的な学びの楽しさに触れた生徒たちは、高校になると地域の課題発見をはじめとする探究活動を本格化。水曜の午後を丸々探究の時間に充て、地元・多摩市との連携に代表される外部とのつながりを積極的に持ち、視野を広げる。
そんな同校は2022年度から、教員離職ゼロを続けている。全教員が聖ヶ丘での学校づくりや挑戦を楽しんでいることの証しである。教員が元気で、楽しく引っ張るからこそ、生徒も楽しい。聖っ子の最大の宝は、エネルギッシュな教員たちである。
多摩大学附属聖ヶ丘(ひじりがおか)中学高等学校
〒206-0022 東京都多摩市聖ヶ丘4-1-1
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