聖徳学園中学・高等学校
伊藤正徳理事長

 1927年の学校創設以来、聖徳太子の「和を以(もっ)て貴(たっと)しと為(な)す」の精神を、教育の基盤に据えてきた。2027年、創立100周年を迎える聖徳学園の伊藤正徳理事長は、「単に周囲に合わせることが『和』ではない」と語る。「自分の考えを抑え、周りに合わせることが『和』の精神ではありません。自分の考えをしっかり持ち、きちんと相手に伝える。それが本校の考える、『和』の精神です」。

 学園としていち早くSTEAMの科目やデータサイエンスコースを設けてきた背景にも、この考えがある。「STEAMやデータサイエンスというと最先端で、人間らしさから程遠いもののように感じられるかもしれません。でも、こうしたテクノロジーはあくまで道具にすぎません。私たちが大切にしているのは、その道具を使って何を考え、どう人に伝えるかです。生徒たちが、大人になったときに判断する価値の軸をどう育てるかが大事だと思っています」(伊藤理事長)。

探究と国際教育に注力し
社会と向き合う力を育む

「行動につながる学び」――聖徳学園はこの言葉を探究やグローバル教育の中で大切にしている。中1では、新潟県阿賀町を訪れ、農家に宿泊する体験を続けてきた。近年は「恩返しプロジェクト」と位置付け、町に貢献できることを考え、行動、提案する機会になっている。

「自分たちで何ができるか、おのずと考える生徒が増えてきました。阿賀町の魅力を調べ、現地の観光協会の方々の意見を聞きながら、プレゼンした生徒たちもいます」(伊藤理事長)

 身近な地域にも目を向け、地元の武蔵野市で課題を探し、駅前のごみ箱の位置など改善案を考えることもある。伊藤理事長は「大切にしているのは、調べるだけで終わらせないこと。小さくていいから実際に行動することを重視しています」と語る。

 グローバル教育では、中3全員がシンガポールとニュージーランドに滞在するほか、高校では、ルワンダ、インド、ベトナム、フィリピンなどを訪れ、現地の人々と交流し、社会の実情に触れる希望制の研修も用意している。ルワンダでは、内戦での虐殺の過去を抱えながらも急速に復興する様子を肌で感じ、インドでは、IT大国として成長する一方、経済格差を抱える現実を目の当たりにする。

「日本は先進国で、教えてあげる側だというのは、すでに幻想です。日本にない点が、他国にはたくさんある。それを学びに行くのです」(伊藤理事長)

 AIが知識を与え、個別最適な学びを支える時代でも、学校の意味は増しているとも。「学校の内外で、いろいろな人とつながり、意見を聞く。自分に合うか合わないかではなく、そういう考えもあるのだと知る。人間が人間でいる以上、そういう場は絶対に必要です」と伊藤理事長。

 自ら問いを立て、学び、発信する力を、「和」の精神で人々の幸せへとつなげていく。分断が広がる時代だからこそ、聖徳学園の学びは、人と人、そして過去と未来をつなぐ力になる。

中1で訪れる新潟県阿賀町で、地域の人々と交流する生徒たち。農家での宿泊体験を通じ、地域に何ができるかを考えていく
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