渋谷教育学園
田村哲夫学園長

 渋谷教育学園の渋谷校・幕張校は、「自調自考」、すなわち「自分で調べ、自分の頭で考える力を伸ばすこと」を教育目標とし、生徒の自主性を重んじる自由な校風が持ち味だ。

「本当にいろいろな生徒がいます」と、しみじみ語るのは渋谷校の高際伊都子(たかぎわいつこ)校長だ。

「本校では、つい最近も卒業生からプロ棋士が出たばかり。好きなことにのめり込み、その道を究める努力家の生徒が多いのです。これは幕張校についても言えることですが、卒業生の進路は多様で、国内外で活躍するアーティストや起業家、研究職に就く事例も多く、まさに自調自考を体現する活躍ぶりをうれしく思っています」(高際校長)

 都心の渋谷校より一回り規模が大きく、生徒数も多い幕張校も、それぞれの興味・関心をひたむきに追究する生徒たちが学園を盛り上げている。幕張校の田村聡明(としあき)校長は「生徒たちは何事にも全力投球。それ故に、時には“事件”も起こります」と笑う。

「例えば、生徒会長選挙。本校では対立候補が出て激戦になるのが通例です。前回は結果に納得できずに選挙の無効を主張する生徒が出てきたり、選挙の在り方に異を唱えたりする生徒も出てきて一騒動でした。生徒会予算が否決されて部活動が全停止になったときも大騒ぎでしたね。学校の自治というものへの関心が高く、いわば学園内の法律である生徒会会則を熟読して論陣を張る生徒もいて、とにかくみんな本気なのです」(田村校長)

思うままに挑戦し、
失敗することが経験値に

 もちろん学校側は、生徒が何をしても許すというわけではなく、集団を構成する者としての自覚や振る舞いを求める。高際校長は言う。

「自分の意見を主張できるのは素晴らしいことですが、周囲との合意形成が必要な場面も当然あります。社会に出たら自分を律し、他者と協調する姿勢も重要であり、これを学園生活の中で学んでもらいたいのです。私自身、生徒からの要望を直談判されることがあって、それが社会において通用しないようなものであるときには、キッパリとNOを突き付けます。もちろん、根拠は論理的に明示しますが、主張を押し通したい生徒と激論になることもありますね」

 とはいえ高際校長、それに田村校長も、最低限の線引きはしつつ、基本的には「挑戦を認める」というのが方針だ。

「挑戦する機会を奪って『やらせてもらえなかった』というむなしさだけが残るような事態は避けたいのです。無謀、無意味に見えるような挑戦に打って出て、それで失敗したとしても、生徒にとって貴重な経験。だから私たちはやみくもに止めませんし、細かな校則を定めていないのもそのためです」(田村校長)

 学園生活で挑戦する経験、考え方の違う多様な生徒と協調する経験、そして山ほど失敗する経験が自調自考力を伸ばす。その環境を担保し続けることが渋谷教育学園の目指すところだ。

幕張中学校・高等学校の卒業生である原太一氏寄贈のアートと共に。同校の田村聡明校長(右)と、渋谷中学高等学校の高際伊都子校長(左)
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