長束幸子中学教頭
三輪田学園中学校・高等学校の教育理念「徳才兼備」は、豊かな人間性と高い学力を併せ持った女性を育てるという、創立以来の教えだ。人間性や誠実さを指す「徳」は不動のまま、「才」の中身は時代に合わせ更新されてきた。「英語や探究的な学び、さまざまなリテラシーが、現代における才といえるでしょう」。長束幸子中学教頭はそう語る。
同校では中学入学時、一人一人の英語力に応じて、「オナーズ」(英検準2級以上)、「アドバンスト」(同3級)、「スタンダード」の三つの習熟度別クラスに割り振っている。
スタンダードは日本人教員の指導で基礎を積み、アドバンストは外国人と日本人の教員によるチームティーチングでオールイングリッシュの授業を段階的に増やしていく。オナーズは週3時間を外国人教員が主導し、討論やスピーチで力を伸ばす。中2以降は英語力に応じてクラスを移動し、高校ではさらに英語学習の深度に応じた二つのコースを導入、海外大学の合格者も出している。
中学での英語習熟度別クラスの導入から7年、中学の志願者も高い英語力を持つ生徒が増えた。2026年の入学時点で、英検準2級以上の生徒が20人、同じく3級が35人となった。
「自己紹介をする英語の授業で、外国人の教員が『あなたのことを教えて』と問い掛けると、4月に入ったばかりの1年生たちがびっくりするくらい積極的に手を挙げて、楽しそうに自己紹介をしていたのが印象的でした」と長束教頭は言う。
英語教育は教室だけで完結しない。法政大学と連携し、留学生と交流するほか、イングリッシュラウンジでは、ネイティブ教員と英語で会話を重ねる。海外研修は、中学のカナダ、高校の英国、中・高参加のシンガポールがあり、オーストラリアへの留学まで用意されている。
探究と読書が紡ぐ
問いを育てる学びの形
英語と並行し、探究学習にも力を入れている。中1では、同校の運動会の仕組みや女子教育の歴史を調べたり、企業や外国大使館を訪問したりする地域研究などを通じ、問いの立て方と調査の作法を体で学ぶ。中2・3では「MIWADA-HUB」を通して研究の型を身に付け、高校では「MIWADA-LAB」で生徒が自ら課題を設定し、外部コンテストへの応募を目指して主体的に探究する。
読書教育にも定評がある。6万冊の蔵書を誇る図書館があり、授業では文学作品や社会課題に関する書籍で、考察力や思考力を高める。社会科担当の安田智昭入試広報部長は「社会科読書の授業では、生徒に課題図書の担当ページを割り当て、内容を説明できるレベルまで理解させた上で、発表する機会を設けています」と語る。
生徒の姿について「みんな本当に優しくて、穏やか」と長束教頭は言う。校訓「誠のほかに道なし」の下、生徒たちは誠実さを行動の軸に据え、時代に合う「才」と、変わらない「徳」を共に育んでいる。
