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「ロボット先進国」の自負は日本の幻想?
福島原発事故に立ち向かう米国製ロボットの存在感

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第141回】 2011年4月20日
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 いまだ危機的状況にある福島原発事故の収束を目指す日本に、世界各国の政府・企業からさまざまな支援の手が差し伸べられている。中でも、米国のボストンを本拠とするアイロボット社(iRobot)から無償提供された多目的作業ロボット「パックボット(Packbot)」は、原子炉建屋内を自走し放射線量などを遠隔操作で調査できるとあって、非常に貴重な存在だ。

 アイロボット社は1990年に、マサチューセッツ工科大学(MIT)の人工知能研究者3人によって設立された。会社の歴史は約20年と短いが、その軍事用ロボットはすでにアフガニスタンやイラクで偵察や爆弾除去に活躍中だ。

 2001年9月11日の同時多発テロ事件後は、ワールドトレードセンター跡地でのがれきの撤去作業にパックボットが投入された。また、昨年のメキシコ湾原油流出事故の際にも、別のアイロボット社製のロボットが海中の原油の流れを調査するなど、人間が果たせない役割を担っている。同社は2000年末以降、およそ3500台のパックボットを販売したという。

 アイロボット社の真価はこうした超高性能軍事用ロボットの開発力に求めることができるが、じつはそれだけではない。軍事向け技術を転用して一般消費者向けの製品も多く生み出している。勝手に掃除をしてくれる自動お掃除機「ルンバ」のことを知っている人も多いだろう。あれは、アイロボット社の看板商品である。その他にも、日本市場に投入されていないが、モップがけロボットやプール掃除ロボット、さらには樋の掃除をするロボットもある。かたちもさまざま、ロボット創造企業の名に恥じぬ充実ぶりである。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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