パナ1万人、日産2万人…大企業が「大規模人員削減」から改革を始める納得の理由Photo:picture alliance/gettyimages

2025年5月、業績不振に陥っている日産自動車は、2万人の人員削減を行うことを発表した。また同月、パナソニックホールディングスも1万人の人員削減を発表している。大手企業が経営体制の見直し、構造改革の一環として、大規模な雇用削減に取り組む理由とは何か。(やさしいビジネススクール学長 中川功一)

大規模な人員削減に踏み切る
日産、パナの現状とは?

 2025年5月、日産自動車は2028年3月期までに日本を含む世界で7工場を統廃合すると発表した。また、同社は2万人の従業員数削減を進める方針だ。

 また、同月にはパナソニックホールディングスも、従業員1万人の人員削減を発表している。

 存続の危機にある日産はまだわかる。だが、利益も出ているパナソニックが人員削減をする真の狙いは、どこにあるのだろうか。今後は、当期の赤字・黒字にかかわらず、著名な大手企業がこうして雇用削減を行っていくことになるのだろうか。

 今後の未来を占う意味で、パナソニックと日産の人員削減の共通要因を抽出し、現代の大企業――特に上場企業が雇用についてどう考えているのか、接近してみることにしたい。

 パナソニックホールディングスの楠見雄規グループCEOは、責任を取っての自分の報酬削減とともに、大規模な人員削減に取り組む理由についてこのように述べている。

「変化の激しい事業環境でも耐性のあるリーン=効率的な体質に再構築したい。10年後、20年後も顧客や社会への責任を果たし続けるために、経営改革を完遂させたい」
出典:5月9日 NHK NEWS WEB「パナソニックHD 1万人規模削減へ グループ構造改革で」

「効率的な体質」を目指す上で、人員削減という手段が取られることになる。つまり、「今の仕事、そして今後10年の仕事をこなすのに、これだけの人員はいらない」ということである。

 果たして、本当にそうなのか。国内外の主だった電機メーカーと比較してみることにしよう。