目の前のチャンスに、気づいていますか?

「私はまじめに働いているのに、なぜかチャンスに恵まれず、損ばかりしている気がするのですが…?」

 つい先日、カウンセリングに見えた相談者からのご相談です。

 この方の事情を詳しく聞いてみると、次々に自分の不運をあげつらいます。

「いまの上司は、他部署から異動してきたばかりで、まだウチの部の業務内容をよくわかっていないので、的確に指示が出せないんですよ…」

「私の部下は、指示したことは一応やってくれるんですが、それ以上のことには気が回らない子で…」

「会社のシステムが使いづらくて、おかげでどの部署でも、毎日のようにデータ作成のために残業しているんです…」

 中間管理職の彼は、自分の周りにあるもの一つひとつを説明しては、その困った点をあげて、自分がどんなに不幸な状態にあるのかを私に訴えてきます。そして、この困った状況をどこかの誰かになんとかしてほしいと願っているようです。

 では、いったい全体どこの誰が、彼をいまの窮状から救い出すことができるのでしょうか?

 世界に一人だけ、彼を救える人がいます。

 それは、この相談をしに来ている彼自身です。

 彼の不幸自慢が終わって、私が初めに発したのは、この一言です。

「なるほど…。つまり、いまがあなたにとってのチャンスですね!?」

「えぇ!?」

 ハトが豆鉄砲を食ったようというのは、まさにこのときの彼の表情を指しているのでしょう。目がテンになっている彼に、私から説明し始めました。