
20年にわたって人財育成の現場に立ち続けてきましたが、若手社員を見ていて、「この人は成長するだろうな」と思う人と、「こりゃ出世しそうもないわ」と思う人がいます。成長する若手に見られる3つの共通項とは、何でしょうか。(組織変革コンサルタント 加藤芳久)
若手は「幼いプライド」を捨てろ!
まず、若手にとって大事なのは「幼いプライドを捨てること」です。私が出会った化学メーカーに勤めるKさんの話をしましょう。仕事はできて、ミスも少ない人でした。でも、明らかに同期より昇進が遅れていて、悩んでいました。
話を聞いているうちに、Kさんが昇進できない理由が分かってきました。端的に言えば、「人の話を受け止めない」のです。例えば、「胸ポケットにスマホを入れるのはマナー違反なんだよ。直すといいね」と伝えても、「そうなんですね」と口にしたまま改善しない。「会議を活発にするためには多少の雑談も大事では」と伝えても、「うちの部署は必要ないんで」と一蹴する……。
こりゃ、昇進できないわ、と思いました。改善のフィードバックを受け止める気が無いのです。今どきは上司や先輩だって相手に気を遣いながらフィードバックしているのに、こんな反応ばかりされれば、次第にKさんを相手にすらしたくないと思って当然です。
適切なフィードバックは、自分では気が付けない点を知ることができる大事なもの。他人に指摘されて、拗ねたり反発しても結局、損するのは自分です。その後、Kさんには丁寧にフィードバックを受け取ることの大切さを伝え、相手に感謝の言葉を伝えるよう促しました。同期に比べ昇進が遅れていたKさんですが、ようやく1年後に無事に昇進することが出来ました。
「究極の憧れの先輩像」をつくれ!
次に、若手にとって大事なのが、「憧れの先輩」の存在です。成長する人は、憧れの先輩をつくり、その長所を真似するのが上手です。ただし、誰かひとりだけをロールモデルにする必要はありません。どんな上司や先輩も、長所もあれば短所もあります。色んな人の長所だけを真似して、うまく取り入れることができれば、「究極の憧れの先輩像」ができあがります。
これを実践していたのが、とある食品メーカーのYさんでした。Yさんはいわゆるコミュニケーション力が高めの人で、上司や先輩との関係が良好なタイプです。
一方、この職場にはOさんという、自分の思った通りにいかないと気が済まないタイプの中堅社員がいました。会議で大声を出すこともあり、同僚から疎まれる存在でした。
そんな中、後輩にあたるYさんはOさんと上手にコミュニケーションを取り、親しく会話をしていました。そこで、Yさんに「みんなが避けているOさんだけど、Yさんにとって、Oさんはどんな人に見える?」と聞いてみました。