HOME

メタボリック

肝臓

腰痛・肩こり

高血圧・高脂欠症

うつ・ストレス

ニオイ

薄毛

老化防止

禁煙

男の病気

8人に1人が苦しんでいる!「うつ」にまつわる24の誤解 泉谷閑示

“イライラ”は、「ウツ」が悪化している兆候なのか?

――「うつ」にまつわる誤解 その(8)

泉谷閑示 [精神科医]
【第8回】

 「うつ」でも、単に落ち込んでしまう状態だけでなく、イライラや怒りっぽさが現れてくることがあります。

 そこで今回は、そのような状態のからくりや意味について考えてみたいと思います。

イライラと自己嫌悪
の悪循環に…

 「まったく、ちゃんとマナー守れよな!」

 朝の通勤時、Nさんは最近やけに、他人の行動が気になるようになりました。うっかりすると後先考えずに喧嘩でもしかねないピリピリした状態になってしまっているのが、自分でも心配です。

 Nさんは、これまでに「うつ」で休職療養をしたこともありますが、今ではある程度回復したので、通院治療を受けながらも、職場には1年ほど前から復帰しています。

 ピリピリした状態は、徐々に職場内でも現われるようになってきました。仕事を要領よく押しつけてくる同僚や、よく考えもせずに業務を丸投げしてくる上司に対して、以前にも増して苛立つようになり、近頃では抑えが利かなくなって、時には声を荒げて反発するようにもなったのです。

 周囲の人たちが、そんな状態のNさんを奇異な目で見るようになってきていることは、彼自身も重々感じてはいるのですが、どうにも自分でコントロールが利かない状態になってしまいました。

 Nさんは、怒りっぽくなってしまった自分を「感情もコントロールできないなんて、最低な人間だ」と思い、すっかり自己嫌悪に陥るようになりました。しかしいくら反省してみても、次の日にはまた同じようにイライラしてしまいます。

 「また調子が悪くなってきているのかも知れない……」

 このところ寝つきも悪くなってきていて、Nさんは自分の状態がとても心配です。

イライラは
なぜ起こるのか?

 Nさんのように、「うつ」の経過中にイライラしやすい状態が現われることは、決して珍しくありません。

 「最近、イライラするようになってしまったんです」という言葉をクライアント(患者さん)が口にすると、治療場面においても大抵の場合は、これを「衝動性の亢進」「情動が不安定になった」として、悪化の兆候と捉えられてしまうことが多いようです。

 しかし、この状態をどう捉えるのかによって、その後の経過がまったく変わってくるので、私は治療上とても重要な局面だと考えます。

 まずは次の【図1】を使って、感情について考えてみることにしましょう。

【図1】感情の井戸
【図1】感情の井戸

 これは、私が「感情の井戸」と名づけているものですが、第1回で登場した「頭・心・身体」の図のバリエーションです。

 理性の場である「頭」は、「心」との間にある蓋を閉じて、感情のコントロールをしばしば行ないます。

1 2 3 >>
このページの上へ

泉谷閑示 [精神科医]

1962年秋田県生まれ。東北大学医学部卒。東京医科歯科大学医学部付属病院医員、(財)神経研究所付属晴和病院医員、新宿サザンスクエアクリニック院長等を経て、現在、精神療法を専門とする泉谷クリニック院長。著書に『「普通がいい」という病』(講談社現代新書)と最新刊の『「私」を生きるための言葉』(研究社)がある。
「泉谷クリニック」ホームページ


8人に1人が苦しんでいる!「うつ」にまつわる24の誤解 泉谷閑示

いまや8人に1人がかかっているといわれる現代病「うつ」。これだけ蔓延しているにもかかわらず、この病気に対する誤解はまだまだ多い。多数の患者と向き合ってきた精神科医が、その誤解を1つずつひも解いていく。

「8人に1人が苦しんでいる!「うつ」にまつわる24の誤解 泉谷閑示」

⇒バックナンバー一覧