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China Report 中国は今

住宅ローンの焦げ付き急増!?
でも「借金は踏み倒す」が中国流

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第13回】 2008年11月27日
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 中国のサイト「泡泡倶楽部」。このなかに住宅ローンにまつわる話題で人を集めるコーナーがある。

 「利率が下がった、今が借り時?」「どうやって借りるのが得?」などの問いかけが飛ぶ。これらに混ざって目を引くのが「家無し男に来る嫁はいないのか……」のつぶやき。上海では男性側に持ち家がないと結婚はできないという社会通念があり、適齢期の上海男性の懊悩と言えば、「持ち家購入」の一言に尽きる。

 一方で、こちらは浦東にそびえる高級マンション、上海のセレブたちがお住まいの一角だ。付帯施設には幼稚園もある。敷地内の幼稚園だというのに、わざわざ自家用車で子どもを送り届ける家庭。あたかも、昨今の上海の富の象徴を見るかのようだ。

 「でも、彼らの家もクルマもみんなローンなんです」とある住人は明かす。

 このマンションの住人の9割近くがこの土地の居住者。立ち退きで古い民家を50~60万元(当時1元=約14円)で売却し、さらに100万元近くの住宅ローンを組んでいるというのが一般的な傾向だ。この住人は今秋開かれた幼稚園の父母会に参加したのだが、そこで話題になったローン返済の現状から、どの家庭も台所事情がかなり厳しいことを知ったと言う。「実際、彼らには貯蓄はないようです」と続ける。ちなみに中国人民銀行によれば、07年の上海市民の一人当たりの平均貯蓄額は5万0194元だ。

絶頂だった不動産市場が
金融危機で一気に暗転

 2000年以降、上海の住宅販売市場は右肩上がりで成長した。資金調達は銀行の住宅ローン(新築住宅購入者の8割以上が利用)。納税証明や預金残高証明を求めるでもなく、または担保をとるでもなく銀行は貸し込んだ。

 「昔は銀行員の友人を頼って住宅ローンを組んだものです。友人がいなければ、金品を贈って融資をお願いした。また、銀行員にとっても得点になった。住宅ローンを1件まとめればボーナスアップにつながったんです」とある中国人は話す。

 さらに02年以降は実需から投資へとシフト、当時、上海では頭金10%で物件を手に入れることができたため、2戸目、3戸目に住宅ローンを突っ込む個人投資家が出現した。購入後1~2ヵ月で売却し、その売却益をローン返済に充てた。02年、上海では平米単価1万元といえば超高級マンションともてはやされたが、これら高級物件も2年で2倍に、さらにその倍にと膨れ上がった。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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