
中華チェーン「日高屋」を運営するハイデイ日高の創業者、神田正会長は「怒らない経営者」として知られる。そんな神田会長が、過去に2人の社員をクビにした理由とは? (イトモス研究所所長 小倉健一)
パチンコ中の神田氏に「おふくろが泣いているよ」
「私はどうしてもラーメン屋になりたくてなったわけではない」と語るのは、ハイデイ日高の創業者・神田正会長(84歳)だ。
日経トップリーダーによると、中学卒業後、職を転々としてパチンコに興じていた神田氏に、友人が「一生懸命育ててくれたおふくろが泣いているよ」と小さなラーメン屋の仕事を紹介してくれたという。それこそが、神田氏とラーメンとの運命の出会いだった。
日高屋を展開するハイデイ日高は、外食業界全体が価格上昇と人手不足に苦しむなかで、安さと品質の両立を実現し、業績を着実に伸ばしている。2025年2月期第3四半期の売上高は409億円で、前年同期比13.5%増えた。
月次ベースでは、昨年11月まで21カ月連続で前年同月を上回る最高売上を記録し続けている。営業利益率は約10%と外食業界では異例の水準であり、自己資本比率も76.0%に達する。456店舗が直営で、フランチャイズに頼らない運営体制も特徴である。
この安定した収益構造は、単なるコスト削減の成果ではない。埼玉県行田市にあるセントラルキッチンで食材やスープなどを一括生産し、各店舗に配送する仕組みが整っているため、調理の効率化と品質の均一化が図られている。
さらに、注文のタブレット化やセルフレジの導入など、デジタル技術を活用した業務効率化にも積極的である。駅前中心の出店戦略(ドミナント戦略)も、集客力の最大化とブランド認知の向上に寄与している。