総予測2024#21Photo:Bloomberg/gettyimages

日本銀行の植田和男総裁は金融政策の修正を進めてきたが、そのペースは海外から遅いと見なされている。金利上昇に注目が集まる2024年、日銀の金融政策はどうなるのか。特集『総予測2024』の本稿では、政策修正の時期と条件を予測しよう。(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)

日銀は「よちよち歩き」を脱せるか
24年の政策修正時期を予測

加藤出・東短リサーチ代表取締役社長かとう・いずる/東短リサーチ代表取締役社長。1965年生まれ。88年横浜国立大学経済学部卒業後、東京短資入社。97年2月東短リサーチ研究員兼務。13年12月より現職。

 2023年4月、日本銀行総裁に就任した植田和男氏は、黒田東彦前総裁から“負の遺産”を引き継いだ。短期金利をマイナス圏に誘導し、長期金利の上限を0.5%とするYCC(イールドカーブ・コントロール)だ。日銀新体制はその修正を慎重に進めてきた。

 金融政策の正常化に向けたステップ(1)として、23年7月に長期金利の上限0.5%が形骸化され、1%が厳格な上限とされた。ステップ(2)の23年10月には、1%は「めど」になり、状況次第で1%超えが許容されることになった。

 日銀の手法が曖昧なのは、国債市場が混乱するリスクを避けるためだ。しかし海外からは「ベビーステップ(よちよち歩き)」と見なされ、円安進行を招いてきた。

24年以降、日銀はどのような「正常化ロードマップ」を歩むのか。次ページでは、マイナス金利解除やゼロ金利解除の時期を推測し、その先の道筋も示そう。