総予測2024#66Photo by Yuji Nomura

工場で働くロボットの世界四大メーカーの一角を占める安川電機は、各国の設備投資の実態を最も正確に知る立場にある。特集『総予測2024』の本稿では、安川電機の小川昌寛社長に、中国市場の見通しや、米国の製造業の復活、さらには自動車業界のEV(電気自動車)シフトのインパクトを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

中国経済の不透明感は
24年中に晴れる見通し

――2023年の総括と、24年の見通しをお願いします。

 23年は、半導体と中国市場の停滞によって、成長が踊り場になりました。24年は不透明感がいつ晴れるのか、それが前半なのか後半なのかが、まだみえていません。

 半導体はデータセンター向けのAI(人工知能)関連需要などがあり、将来的には勢いを取り戻すでしょうが、米中両国間の技術覇権争いもあって足元では停滞しています。ただ、24年中には上向くと期待しています。

 中国はわれわれ自動化の業界では2桁成長は当たり前でした。しかし、かつての“世界経済の成長エンジン”に戻ると考えるのは楽観的過ぎるかもしれません。市場としては今後も成長するでしょうが、成熟していくとみるべきでしょう。

――中国で日系自動車メーカーが苦戦しています。

 日系メーカーは中国で需要が拡大している新エネルギー車(NEV。電気自動車〈EV〉、プラグインハイブリッド車〈PHEV〉、燃料電池車〈FCV〉が該当)を増産するための設備投資をやらなければいけません。これは生き残りのために必須です。

次ページでは、デジタル化をてこに製造業の復活を図る米国の動向や、新たな鋳造技術「ギガキャスト」の導入をはじめとしたEV時代の自動車工場の激変について、安川電機の小川昌寛社長に余すところなく語ってもらう。