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献魂逸滴 極上の日本酒を求めて

賀茂金秀&山形正宗――酒造好適米「雄町」の個性を生かした厳選酒を利く

「雄町」の銘酒7本を日本酒好きが利き酒。果たしてその結果は?

柳 紀久夫
【第5回】 2010年4月30日
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 「次の勉強会はいつ? テーマは何?」

 「平成21BY(平成21年7月1日~翌年6月30日に醸造。BYはBrewery Yearの略)新酒飲み比べ」から約2ヵ月。一部の熱心な日本酒ファンの要請に応えるべく、ない知恵を搾らなければならなくなった。米・水・酵母・技術……、酒質を左右する要素を挙げ出したらキリがないが、同じ米を使いながら、どれだけ味・香りが変わるものなのだろう? 素朴な疑問が脳裏をよぎった。

 とはいえ、山田錦だとお手軽すぎてつまらなそうだ。そこで、山田錦と並び称される酒造好適米で、とりわけ酒造関係者からの評価が高い「雄町」をテーマに飲み比べをしようと思い立ったのである。

 今回、利き酒する本数を前回の10本から、7本に減らした。その理由は、本数が多いと舌に負荷がかかり、正確な利き分けができなくなるからである。

たかが雄町、されど雄町
山田錦の祖父は独特で個性的

いずれも名だたる銘酒、しかも全て雄町仕込み。

 雄町は酒米としては最古参の種目に属し、山田錦や五百万石のルーツとなる米である。ちなみに名称自体は、初めて栽培に成功した地名(現・岡山市雄町)から取ったもので、全生産量の9割が岡山県産である。

 草丈が長いために倒伏しやすく、病気にも弱いうえに収穫時期も遅いなどさまざまな理由から農家に敬遠され、全国の酒造家から渇望されながらも生産量が減少していった、いわく付きの酒米なのである。

 「優等生的な山田錦とは違い、雄町は独特で手間がかかる。でも、だからこそ面白い」と酒造関係者は口を揃える。「米が溶けやすくて扱いにくい。雑味が出やすいし、造りを一歩間違えると非常に重い酒質になる」という致命的な欠陥を抱える雄町だが、酒造適性はすこぶる高く、蔵の醸造レベルが明確に現れることから、それを補って余りある個性豊かな酒米としてとらえられているようだ。

 雄町の孫に当たり、かつ最大のライバルでもある山田錦が楚楚とした相沢紗世的眉目秀麗タイプの酒になりやすいのに比べ、雄町は味に幅・厚みを持たせて濃醇で丸みのある米倉涼子的ナイスバディな酒になる(と思う)。しかも熟成させることにより旨みが際立ち、鈴木京香的美熟女ふうの味わいになってくるのも、雄町ならではの個性といえるかもしれない。

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柳 紀久夫

1956年、東京・神田に生まれる。元「週刊ダイヤモンド」編集委員。大学在学中に日本酒に開眼。以来、酒屋放浪では飽き足らず、日本酒を媒介にしたネットワーク作りや日本酒イベントの発起、取材に便乗しての全国地酒探訪に注力。週末はひたすら極上の日本酒を求めて各地の酒販店・酒蔵を巡る。


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