最近、3万円ほどの少額を狙ったコンビニ強盗が起きるといった事件が増えています。不況のせいもあるでしょうが、貸金業法の改正も大きく影響しているかも知れません。
というのも、この6月から「年収の3分の1以下しか貸し付けてはいけない」などの規制がスタートしたことで、カード会社や消費者金融が一斉に貸し出しを絞り出したからです。
パチンコなどのギャンブルや買い物依存症で借金に手を染める人ばかりではなく、失業など止むに止まれぬ事情を抱える人も数多くいます。こうした人々にとって、今回の法改正は生活を根底から覆されるほどのインパクトを持っています。
それと同時に、規制は貸金業者にとっても死刑宣告に等しいほどの厳しい内容となっています。上限金利が29.2%から、15~20%に引き下げられたことに加え、総量規制で貸出金額にも制限が加えられれば、まともに生き延びられる消費者金融は、大手であっても皆無と言えます。
今回、本誌が実施した「消費者金融余命ランキング」では、ほぼ3年で大手4社も危険水域を迎えそうです。カード会社は、消費者金融ほどではありませんが、やはり収益の柱を破壊され、業界再編が急ピッチで進んでいます。
本誌では、消費者と貸金業者双方の苦境を解説するとともに、正規の貸金業者消滅の代わりに増えてきたヤミ金の現場をレポートします。
今や、沖縄県はヤミ金天国。那覇市の飲み屋さんの8割がヤミ金のお世話になるほどの勢いです。
沖縄ほどではないものの、全国的に見ても、主婦にまで被害が広がるなど、ヤミ金の勢力拡大は間違いありません。彼らは「法改正はビジネスチャンス」と喜んでおり、当分は商売繁盛しそうです。
多重債務者の発生防止のために改正された貸金業法ですが、根底にある失業や貧困問題に実効性のあるアプローチをすることなく急激な変化を起こしたことで、ツケは利用者に回り、ひいてはさらなる景気下押し材料になっていくことでしょう。
今回は、自己破産や任意整理といった債務整理の選び方を始め、住宅ローンの賢い返済の仕方、中小企業経営者向けの銀行からの資金調達法など、ローン絡みのコンテンツも満載。
借金とは縁のない読者も、ぜひ一読いただきたい内容となっています。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 津本朋子)