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急激に高まる米国景気悲観論
回復スピードは大幅減速必至

ジャーナリスト・東洋英和女学院大学教授 中岡 望

2010年8月5日
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 アメリカ経済の見通しについて、急速に悲観論が台頭している。ポール・クルーグマン米プリンストン大学教授のように、比較的早い段階からアメリカ景気は“ダブル・ディップ・リセッション(2番底不況)”に陥ると主張する学者もいたが、大勢からすれば少数派であった。だが7月30日に米商務省が発表した国民所得統計速報値で第2四半期の成長率が2.4%に減速したことが明かになると、急速に悲観論が広がってきた。

FRBの懸念はインフレでなく
デフレに移行しつつある

 第2四半期の成長率の減速を受けて、クルーグマン教授は「アメリカ経済は、既に日本の“失われた10年”のような長期かつ深刻なリセッションに陥ってしまっているかもしれない」と、その見通しの正しさを強調している。さらに8月1日にNBCのニュース番組に出演したアラン・グリーンスパン前FRB(連邦準備制度理事会)議長も、「景気回復は停滞している。もし住宅価格が下落すれば、再び不況に陥る可能性はある」と、アメリカ経済が“ダブル・ディップ・リセッション”に陥る可能性を示唆する発言を行っている。

 ロバート・シラー米イェール大学教授もロイター通信の質問に「ダブル・ディップ・リセッションに陥る可能性は50%以上あり、私は実際にそうなると予想している」と答えている。深刻な雇用情勢を背景にAFL・CIO(米労働総同盟産別会議)のリチャード・ツルムカ議長も「アメリカ経済はダブル・ディップ・リセッションの瀬戸際にある」と指摘し、オバマ政権に緊急な雇用政策を発動するように要請している。

 ベン・バーナンキFRB議長も7月22日の上院銀行委員会における証言で、ダブル・ディップ・リセッションの可能性を否定しながらも、「もし景気回復が行き詰まるようになれば、政策を再検討しなければならないだろう」、「景気の先行きは異例なほど不透明になっている」、「FRBはもし必要であれば、景気を刺激するために、さらなる政策を講じる準備がある」と、景気の先行きに対して慎重な姿勢を見せている。現状は、景気回復を背景にFRBがゼロ金利からの“出口政策”を模索していた春先とは、様変わりとなっている。

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