「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します!大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。(構成/上栗崇)
本連載は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの質問を、先輩であるアカツキ記者が答えていく会話形式で構成されています。今回のテーマは「韓国尹大統領と非常戒厳」です。
「非常戒厳」って何ですか?
吉田くん(以下、吉田):お隣の韓国がなんだか大変なことになってるらしいですね。
アカツキ先輩(以下、アカツキ):尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が2024年12月4日未明、「非常戒厳」を宣布したことだな。
吉田:あ、僕はアイドルが事務所から独立する騒ぎのつもりで言ったんですけど。で、誰が非常階段から転げ落ちたんですか。
アカツキ:階段じゃない、非常戒厳だ。一般的には「戒厳令」といわれるもので、行政や司法を軍が掌握し、政治活動や集会などを制限できる。大災害やクーデターが起きたときなどに出されるもので、先進国では極めて珍しい。韓国でも1980年代を最後に出されたことがなかったし、今回も戒厳令を出すとはとても考えられない状況だったから、世界中が驚いた。
尹大統領、なんでたった6時間で失敗するようなことをやっちゃったんですかね
吉田:そう言えば軍隊が出動してる映像をテレビで見た気がします。で、何が原因だったんですか。
アカツキ:韓国では国会の過半数を野党が占めていて、官僚が次々に弾劾されたり、大統領が出した法案や予算が通らなかったりしていた。政権運営が事実上マヒしていたから、強硬手段に出た形だ。
吉田:政治がうまくいかないからって、さすがに軍隊を出すのはまずいですよね。で、その後はどうなったんですか。
アカツキ:国会が解除要求を決議したことを受けて、尹大統領は非常戒厳の宣布からわずか6時間後に自ら解除した。軍の力で国会や国民の権利を奪おうとした尹大統領の行動には批判が殺到し、12月14日には国会で尹大統領の弾劾訴追が成立した。尹大統領はあらゆる権限を失い、今後は大統領の立場をかけて裁判で争う姿勢だ。
吉田:でも尹大統領、なんでたった6時間で失敗するようなことをやっちゃったんですかね。僕が考えても、うまくいかないってわかりますよ。