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吉田恒のデータが語る為替の法則

ドル・キャリー取引による大相場が展開。
米ドルは記録的な売られ過ぎに!

吉田 恒
【第101回】 2010年10月13日
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 米ドル安がなかなか止まりません。

 これは、いわゆる「ドル・キャリー」の大相場が展開されているといった認識が必要ではないでしょうか?

米ドルは記録的な「売られ過ぎ」の状況になっている

 下の図は、CFTC(米商品先物取引委員会)統計から、非米ドル主要5通貨(日本円、ユーロ、スイスフラン、英ポンド、加ドル)のポジションを使って米ドルのポジションを推計したものです。

 これは先週のコラムでもご紹介しましたが、この1週間で米ドル売りがさらに拡大し、ネット・ショート(売り持ち)はついに2007年以来の15万枚以上に拡大してきました(「信用不安強いユーロは買われ過ぎ懸念。『上がり過ぎ』修正で1.3ドル割れへ向かう!」を参照)。

 さて、上の図を見てわかるように、米ドルのネット・ショートが今回のように15万枚以上に拡大したのは、2004年11月、2006年5月、2007年10~12月など、これまでに数えるほどしかありませんでした。

 その意味では、米ドルは記録的な「売られ過ぎ」になってきたと言えそうです。

 この米ドル売り拡大の背景には、米国の追加緩和観測を背景に、米国の金利低下が続いていること、米ドルが「じゃぶじゃぶ」に余っているということ、さらに、余った米ドルが売られた結果である米ドル安を、米国政府が容認しているといった思惑などが影響しているでしょう。

 低金利で安く調達できる通貨などを売って、より高い利回りのものに投資することを「キャリー取引」と呼びます。

 最近の金融市場では、安く調達した米ドルを売って、高い利回りの先に投資する「ドル・キャリー」取引による大相場が起こっていると言えるでしょう。

米金利が記録的な「下がり過ぎ」となっている可能性

 このような「キャリー取引」による大相場が反転する場合、その主な要因として、調達通貨の金利、今回の場合ならば米国の金利が反発することが1つ目に挙げられます。

 そうなると、資金調達コストが上昇して返済が拡大するため、今回の場合ならば、米ドルの買い戻しが増えることになります。

 それでは、低下しつつある米国の金利が反発する可能性はあるのでしょうか?

 調達金利は基本的に短期ではありますが、私が定点観測している米国の2年債、ならびに10年債の利回りを参考に見てみましょう。

 すると、2年債および10年債ともに、かなり記録的な「下がり過ぎ」になっている可能性があります。

 やはり、米国の金利が反発上昇する可能性に注意すべきではないでしょうか?

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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