【身内に不幸】感じのいい人は「ご愁傷様」ではなく、何と声をかける?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

【身内に不幸】感じのいい人は「ご愁傷様」ではなく、何と声をかける?Photo: Adobe Stock

お悔みのときの気づかい

「こんなとき、どんな言葉をかけたらいいでしょうか?」

 コミュニケーションを教えていると、よく聞かれる質問です。
 特に、家族にご不幸があった友人への言葉がけについて悩む方が多いようです。

 そんなとき、私が思い出すのは、あるホテルスタッフからかけられた言葉です。

 私の親族が亡くなり、予定していた出張を取りやめることになりました。
 その際、予約していたホテルに電話でキャンセルの連絡を入れたときのことです。

「そうでしたか。そんな大変な中、ご連絡をいただき、ありがとうございます」

 不幸があった直後で、まだ気持ちが整理できていない中、知らない人に「ご愁傷様です」と言われるよりも、短いこの一言が、心に染みたのを覚えています。

さりげない一言が心に残る

 また、知人からはこんな話を聞いたことがあります。
 長く病気を患っていたお父様が亡くなり、葬儀が終わった後、お父様が定期購入していた健康食品の会社に停止の連絡を入れたときのことです。

 一通りの手続きを終えた後、担当の女性スタッフから、ある言葉がかけられました。

「最後になりますが、お身内を亡くされて、少し経った今ぐらいが、ご家族にいちばん堪える時期かもしれません。
 どうか今度はご自身のお身体を大切になさってくださいね。」

 期待していなかったこの一言に、知人はこみ上げるものがあったと話していました。

 2つの例に共通するのは、相手の状況や心身を気づかう言葉があったこと。それもさりげなかったことです。

 こういった場面はとてもデリケートですし、「最善の言葉」は関係性や状況によって異なります。
 ただ、多くの言葉で励ますよりも、ほんの少し相手を気づかう一言があれば十分ではないでしょうか

「だいじょうぶ? 寝られてる?」「私のときもたいへんだったよ」などと踏み込みすぎず、必要以上に触れないこともまた、気づかいです。

 言葉は少なく、でも心は込めて。そんな距離感が、相手にとっての救いになることを覚えておきたいですね。

(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。