スマートフォンを片手に涙を流す男性写真はイメージです Photo:PIXTA

17年ぶりにゼロ金利政策が解除され「金利のある時代」に突入した。多くの銀行が預金金利を引き上げると同時に、住宅ローンの金利も上がり始めているすでにローンを組んでいる人はどの程度影響が出るのか。また、住宅ローンの借り換えのタイミングについて、どの時点で判断すべきなのか。『マンガでわかる 不動産屋が絶対に教えてくれない「最高の家」の買い方』(扶桑社)の監修者で家と住宅ローンの専門家、千日太郎さんに聞いた。(取材・文/ジャーナリスト 村田くみ)

金利上昇の予測に
震える変動金利の利用者たち

 住宅ローンの金利は、半年に1度見直される「変動型」と一定期間変わらない「固定型」、10年固定など両者を組み合わせた「ハイブリッド型」がある。

 住宅ローンの固定金利に連動している10年物国債の金利は1%を超える水準で推移しているため、12月には大手行がそろって引き上げた。一方、変動金利は、金融期間が短期間、企業に貸し出す短期プライムレート(短プラ)と連動している。利上げの影響を受けて年1.475%から1.625%に上がった。さらに、12月18日、19日の金融政策決定会合では現状維持となったが、25年は政策金利が0.25から0.5%程度に引き上げられる可能性があると関係者は見ている。

 変動金利で住宅ローンを組んだ人は全体の7割を占める。この先、どうしたらいいのだろうか――と不安な声がSNS上でも上がった。

「住宅ローンを組んだ方からの借り換えの相談は、少し増えてきましたが、それほど多くはありません。金利が上がったとしても、5年間はそれまで支払っていた元利均等返済額に据え置かれるという“5年ルール”があります。さらに5年間が経過した後に毎月の返済額を増やすときも、それまでに支払っていた元利均等返済額の1.2倍を上限とする“125%ルール”があります」

「これら2つのルールが適用されるので金利が上がってもすぐに毎月の返済額が増えないような仕組みになっています。ただし、注意しなければならないのは5年間にわたり、毎月の支払い金額が据え置かれるということは、利息の部分が増えて元本返済部分が減るため、トータルで支払う金額が増えてしまうことです」(千日さん)