「高額療養費」の申請で忘れると大損!負担軽減の“裏ワザ”を使い倒せ写真はイメージです Photo:PIXTA

家計の負担を軽減してくれる「高額療養費」。制度の大枠はわかっていても、細かい内容を把握していない人は少なくないのではないだいだろうか。『医療費の裏ワザと落とし穴』290回は、高額療養費をとことん使い倒すために知っておきたい、2つの決まり事を解説。ぜひ年末年始にチェックしてほしい。(フリーライター 早川幸子)

制度をしっかり使えば
さらに医療費の負担を軽減できるケースも

「高額療養費」の自己負担限度額が引き上げられることになった。

 高額療養費の限度額は所得に応じた傾斜が付けられており、所得が高い人ほど、限度額も高くなっている。現在、70歳未満の人の所得区分は5つに分類されているが、2025年8月~27年8月にかけて、所得区分を細分化し、限度額についても所得に応じて細かく分類していくことになった。

 たとえば、年収約510万~約650万円の人の自己負担限度額を決める際の基準額は、現在は8万100円だが、27年8月以降は11万3400円になる予定だ。また、年収約1650万円以上の人の基準額は、現在の25万2600円から27年8月以降は44万4300円になる予定である。

 今回の見直しは、経済的な負担能力に応じた負担を強化するものとなっており、所得が高くなるにつれて、限度額の引き上げ幅も大きくなっている。住民税非課税世帯には、負担が大きくなり過ぎないような配慮がされている一方で、高所得層には厳しい引き上げとなりそうだ。

 このように自己負担限度額の見直しが行われるものの、高額療養費が家計の負担を軽減してくれる制度であることは変わりない。

 特にここ数年、高額医薬品の登場によって、がんの治療などでは医療費が1000万円を超えるケースが増加しているが、制度をしっかり使えば、さらに医療費の負担を軽減できるケースもある。ところが、制度内容をよく理解していないために、せっかくのお金を取り戻せるチャンスをみすみす逃している人もいる。

 そこで今回は、制度をとことん使い倒すために、高額療養費の「世帯合算」について確認しておきたい。