製造業向けIoTプラットフォームとして2018年にスタートしたエッジクロスコンソーシアムが、終了する方針であることがダイヤモンド編集部の調べで分かった。三菱電機や日立製作所、NEC、日本IBMなど7社で幹事会社を構成し、工場のIoT化を目指してきた。しかし、11月下旬に突然、会員企業に終了の方針が伝えられたのだ。一体、何があったのか。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
IoT導入の流れは世界的
FA・IT各社が手を携えて発足も7年で終了へ
IoT(モノのインターネット)は、インターネットで工場などの生産現場の機械やシステムをつなぐ基盤のことだ。製造業の現場の効率化のため、世界的に導入の動きがある。
企業、産業の枠を超えて共通のソフトウエアプラットフォームを構築する――。エッジクロスコンソーシアムは、そんな構想を描いて設立された。
当初は三菱電機、オムロン、NEC、日本IBM、日本オラクル、アドバンテックの6社が幹事会社を務める体制で発足。その後、日立製作所とトレンドマイクロが幹事会社に参画し、アドバンテックは幹事会社からは退いた。
製造業とITという切り口で基盤づくりに取り組むため、参加企業にはFA(ファクトリーオートメーション)とITの銘柄が並ぶ。一般社団法人の形を取り、幹事会社からの出向者などで事務局を運営してきた。
23年の時点で会員企業は400社を超える。提供するプラットフォームを実際に利用しているライセンス数は約1200まで増えていた。エッジクロスコンソーシアムは、製造業のデジタル化の鍵を握る組織として期待を集めていたのだ。
ところが、である。「コンソーシアムを終了する」。11月下旬、会員企業に事務局から突然連絡があった。「なぜこんなことに」「やっぱり持たなかったか」――。会員企業からはさまざまな反応があった。次ページでは、エッジクロスコンソーシアムが終了することになった内幕を明らかにするとともに、同プラットフォームが抱えていた構造的な問題を指摘する。