この連載は、日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車など多くの省庁や企業で講演や研修を担当し、15年間にわたって約7万人の老若男女にコミュニケーションを教えてきた『オトナ女子のすてきな語彙力帳』の著者、吉井奈々さんによるものです。
本書の読者からは、
「言葉の引き出しが増えた!」「載っている言葉を1つでも多く使いたいと思った」「繰り返し読みたい本になりました」
といった感想がたくさん届いています。
相手も自分も大切にするコミュニケーションのヒントが満載の本書から、好印象を残す季節の挨拶をご紹介します。
季節の挨拶で、会話に深みと彩りを添える
冬の季節になると大体の挨拶が、
「今日は寒いですね」
「冷えますね」
といった表現になると思います。
けっして間違いではありませんが、印象には残りませんね。
たとえばこんな表現はいかがでしょうか。
「冬がやってきましたね」
「冬の足音が聞こえてきます」
寒さをネガティブに表現しがちですが、ポジティブに言い換えると素敵な印象に変わります。
会話に季節感を込めるときに大切なのは、相手に「確かに季節って素敵だなぁ」と感じてもらうこと。
四季の魅力や美しさ、四季折々の楽しみ方、味わい方などを、具体的なキーワードで伝えてみましょう。いつもの会話に豊かさがにじみ出ますよ。
寒くなってきたらこんな表現を
冬本番の少し前なら、こんな表現も素敵です。
「季節の移ろいが楽しい時期です」
四季とともに、気候や自然の変化に富む日本。その移ろいを楽しむ言葉を伝えましょう。
また、寒い季節ならではの空気感を伝えるのもおすすめです。
「凛とした空気が気持ちよいですね」
冬は「蓄え」と「生まれ変わり」の季節。マイナス面は出さずに、冬を楽しむ言葉で伝えてみましょう。
年末に近づいたら、
「今年もいよいよ押し迫ってきました」
こんなふうに年末の慌ただしい空気感を表す言葉も◎。続けて、体調への気遣いをプラスするのもいいですね。
季節の言葉はバリエーションが豊富
季節を大切にしている人は、どことなく大人の余裕があって素敵です。
「季節感」とひと口に言っても、花や植物、太陽や風といった自然にまつわるものから、正月や節分、卒業式や体育祭、クリスマスといった季節の行事まで様々です。俳句の季語を調べてみるだけでも、四季を感じる言葉や美しい日本語と出合うことができますよ。
いつもお世話になっている人へ、手紙を送ってみませんか?
コミュニケーションは会話だけではありません。手紙・ハガキも素敵なコミュニケーション手段です。手紙を書く機会は少なくなりましたが、丁寧な文章が届くとまた違った喜びがあります。相手の手元に残る手紙は、言葉選びにひと工夫したいですね。
手紙を書き慣れていない人は、はじめの挨拶にあたる前文に、季節感のある言葉を選んでみましょう。メールとはひと味違う雰囲気になります。
末文は「体調を崩されませぬよう」といった健康を祈るメッセージや、「ますますのご活躍を」といった繁栄や活躍を祈るひと言で結ぶと、幸せを願う思いが伝わります。
(本記事は『オトナ女子のすてきな語彙力帳』をもとに編集しています)