『たまたま――日常に潜む「偶然」を科学する』レナード・ムロディナウ〔著〕、田中三彦〔翻訳〕 |
日常に潜む「不確かさ」「偶然」と、「偶然」を目の前にした人間がいかに判断を誤るかを解き明かしたベストセラー『たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する』。物理学者であり元TVドラマ脚本家という異色の肩書きを持つ著者に、本書の魅力、そして「偶然」とうまく付き合う方法について聞いた。(聞き手:ジャーナリスト 大野和基)
コイン投げでわかる
「偶然」の解釈をめぐる人間の勘違い
――『たまたま』を読みました。これは読む人の世界観を変えると思います。これを書いた目的は何だったのでしょうか?
レナード・ムロディナウ(Leonard Mlodinow) カリフォルニア大学で物理学の学位を取得後、マックス・プランク研究所フンボルトフェローを経て、現在はカリフォルニア工科大学(カルテック)にて未来の物理学者たちに「ランダムネス」について講義している。現在はカリフォルニア州パサデナ在住。 著書に『ユ-クリッドの窓』 (日本放送出版協会)、『ファインマンさん最後の授業』(メディアファクトリ-)、『ホ-キング、宇宙のすべてを語る』(共著・ランダムハウス講談社)など。 「スタートレック ネクストジェネレーション」や「冒険野郎マクガイバー」といったテレビドラマの脚本を手がけたこともある。 |
意識を高めるためですね。人は数字や結果だけで判断しがちですが、そのようなことにもっと懐疑心を持ち、より深いところで何が起きているかを見なければなりません。
――「日常生活でランダムに事が起きることをどのように解釈したらいいのか」ということについて、「人は勘違いをしている」ということでしょうか。
そうです。たとえばコインを投げて表か裏かを当てるゲームがありますが、もし表が連続して数回出れば、コインに何かあるのではないかと人は思います。あるいは、コインを投げる人が何かコツを知っているのではないかと思います。でも実際はそうではありません。「たまたま」そうなっているだけなのです。『たまたま』では、その「偶然」を科学的に分析しました。