
東京都立中高一貫校の受検動向を見ると、応募者数の急減に加えて、当日の欠席や棄権、合格後に手続きを行わない受検生の割合が急増している。かつて一世を風靡した都立中高一貫校に、何が起きているのか。特集『わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校』の#6では、具体的なデータに基づき、都立中高一貫校受検の最新トレンドを分析する。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
止まらない「離脱率上昇」
都立中高一貫校で何が起きている?
公立中高一貫校の動向を見る上で、「受検倍率」と共に注目すべき指標に「離脱率」がある。
離脱率とは、応募者数に対する(1)出願したにもかかわらず実際には受検しなかった者、(2)1次選抜に合格したものの2次選抜を辞退した者、さらには(3)合格後に入学手続きを取らなかった者を足した人数の割合である。
進学塾の栄光ゼミナールが、自治体の公表データを基にまとめた離脱率を見てみよう。
東京都立中高一貫校10校を含む首都圏1都3県の公立中高一貫校全体では、受検者数そのものが減少傾向にあり、総受検者数は2024年度の1万4344人から25年度は1万3063人に減り、前年比で91.1%にとどまった。
また、離脱率も上昇し、24年度の6.4%から25年度は7.3%と約1ポイント上がった。
いったい、公立中高一貫校の世界で何が起こっているのか。「公立中高一貫校を受検する生徒の大半が私立中学校も受検している。数年前に比べ、私立との併願が増加していることが、離脱率の増加につながっているとみられる」と栄光ゼミナールの藤田利通氏は話す。
また、首都圏模試センターの北一成教育研究所長も意見を同じくする。「2年ほど前は公立一貫校1校と私立中1校という併願パターンが大半だったが、今は公立1校と私立2~3校という併願が増えている。また16年入試では、茨城県を含む1都4県の公立中高一貫校の受検生の内、私立中高一貫校の併願者は約23%だったが、25年入試では約45%が私立中高一貫校を併願した。近い将来、50%程度へと増えると予想している」(北氏)。
次ページでは、都立中高一貫校の応募者数、受検倍率、離脱率に関する具体的なデータを示している。これらのデータを基に、都立中高一貫校受検の最新トレンドを分析。さらに、東京都以外の3県も含めた首都圏公立中高一貫校と私立中高一貫校との“鉄板”併願パターンについても明らかにする。