鳩山政権の支持率が、危険水域と言われる30%まで急落してきた。「政治とカネ」の問題や、「普天間基地移設問題」「郵政民営化見直し」など政策立案過程における鳩山首相や閣僚の発言の不一致や不規則発言の数々が批判されてきた。更に、生方幸夫副幹事長解任騒動で、いわゆる「小沢支配」への批判も更に大きくなった。

 これらの批判はかなりの部分が的外れだ。不規則発言とは、政治家が官僚の書いた筋書き抜きで、自分の言葉を使って話しているからこそ起きる(第39回)。これを完全否定すると、官僚が政治家を管理する自民党政権時代に後戻りしてしまう。

 「小沢支配」批判に隠れているが、「英国型議会制民主主義」を導入する国会改革は確実に進んでいる(第38回)。「政治とカネ」の問題も、検察が「形式犯」を無理に立件した過去の失敗を、今も繰り返しているのだ(第21回)

 もちろん、鳩山政権の運営には問題がある。今回はそれを「政策過程の混乱」「閣僚不規則発言」「小沢と自民党に対する幻想」の3つに整理して論じたい。

官僚に対する嫉妬心が
政策過程を混乱させる

 鳩山政権は「政治主導」の政策過程の実現をめざして、政務三役(大臣、副大臣、政務官)が主導する新たな政策立案の形を試みた。しかし、この連載で懸念した通り(第33回)、政務三役は過重労働となり、政策過程は混乱した。

 また、「経済財政諮問会議」を廃止するなど、内閣府や各省庁の審議会の多くの議論を止めたことで、官僚は政務三役の目を盗んでやりたい放題だ。この連載では政権交代以前から、民主党政権の最も重要な課題は、審議会の「御用学者」に代わるブレーンをどう確保するかだと主張してきた(第20回)。しかし、いまだにブレーン機能は未整備だ。