3月13日にフジテレビが10月1日より改正放送法で認められた「認定放送持株会社」への移行準備に入ったことを発表した。同時にTBSも持株会社化する方向で検討に入ったという。
地上波デジタル放送への完全移行に伴う大型設備投資負担を強いられる経営基盤の弱い地方系列局救済のために民放業界の総意で進められた改正だっただけに、「やはり」ということなのだが、私としては最初に手をあげたのがフジテレビだったということが、「やはり」という印象だ。
何故か。持株会社創設の目的が地方局救済であることは何度も申し上げているが、中でも、系列局が減価償却期間中で設立が比較的新しい放送局、いわゆる「平成新局」の多くがフジテレビ系列とテレビ朝日系列である事情が理由の第一番だ。
TBSも同調した本当の理由
では、どうして日本テレビ同様に比較的設立が古い地方局を系列に抱えるTBSが、ほぼ同時に手をあげたのだろうか。
実は、この改正放送法には「持株会社の議決権の保有割合は3分の1未満に制限される」という規則も決められた。これは、表現の自由や報道の自立性を求められる放送会社においては特定の企業を影響が及ぶことをくい止めるための方便ということだ。
企業買収に詳しい森・濱田松本法律事務所の増島雅和弁護士によれば、譲渡制限がついていない会社の株式は本来であれば誰でも自由に取得することができ、保有割合が高まれば支配権にも影響を及ぼすことができるが、改正放送法は株式の自由譲渡性の部分には制限を課さずに、たとえ株式を3分の1超取得したとしても議決権は3分の1までしか保持できないということにして、持株会社を「支配」する株主というものの存在を認めない仕組みを採用した、と説明する。