日産自動車は2024年9月中間決算を発表した。中国市場の低迷に加え、本来「ドル箱」だった北米市場でも苦戦を強いられたため、営業利益が90%減と大幅な減益となった。同じ販売環境にいるトヨタ自動車やホンダと、どうしてここまで差がついたのか。決算の数字からその敗因と、再建に向けた課題に迫る。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
全世界で9000人の人員削減!
19年以来となるリストラ計画を発表
日産自動車が7日発表した2024年9月中間決算の売上高は1.3%増の5兆9842億円と増収となったが、営業利益が前年同期90.2%減の329億円だった。苦戦が続く中国に加えて、北米の競争激化により、値引きに当たる販売奨励金が膨らんだためだ。
こうした経営環境の悪化を踏まえ、グローバルでの生産能力を20%削減し、従業員9000人のリストラを実行する。
大規模な人員削減は、カルロス・ゴーン氏の拡大戦略を見直し、1万2500人をリストラすると表明した2019年以来となる。今回の9000人は全従業員(2024年3月末時点で13万3580人)の6.7%に当たるが、内田誠社長は「場所と時期については申し上げられない」と明言は避けた。
6日発表したトヨタ自動車やホンダも前期と比べて勢いに陰りが出ている。トヨタは販売の鈍化に加えて、子会社である日野自動車が北米での認証不正に伴う和解金として2300億円の特別損失を計上したことも影響し、営業利益は3.7%減の2兆4642億円となった。
宮崎洋一副社長は中国市場について「販売競争が激しい中でも踏ん張っている状況だ」と分析。今後、価格競争に巻き込まれないよう商品を軸とした経営を目指す考えを表明した。北米については過度に販売奨励金を積まず、ハイブリッド(HV)車の高い燃費性能を売りにして販売拡大していく方針だ。
ホンダの営業利益は6.6%増の7426億円だが、事業別でみれば二輪事業が28.6%増に対して四輪事業は14.3%減となった。四輪事業の稼ぐ力が低下し、再び二輪の収益に依存する格好となっている。青山信二副社長は「当初思い描いていた数字と比べれば物足りない結果となった。中国市場は販売の減速が想定以上だ。固定費の削減を進めていく」と説明した。
ただ、日産の業績の落ち込みは、トヨタ、ホンダの比ではない。なぜ、同じ販売環境の中でここまで差が出たのか。次ページでは、業績悪化の理由や課題を決算の数字を見ながら分析する。