フジテレビアナウンサーの「新人アナいじり」はタチが悪い?ハラスメントとの境界線の見極め方騒動後、動画のコメント欄は閉じられていた YouTubeチャンネル『めざましmedia』より

「後輩いじり動画」が物議を醸している。テレビ局のアナウンサー同士で、動画という目に見えるところで行われた。しかし、この手の「後輩いじり」問題は、どの職場でも他人事とは思えないはずだ。たびたび話題となる「いじり」と「いじめ」の違い。いずれもハラスメントにつながる可能性がある。コミュニケーションとハラスメントの境界線について、専門家に聞いた。

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「後輩いじり」が炎上、フジテレビは謝罪 

 フジテレビが運営するYouTubeチャンネル『めざましmedia』で、7月12日に配信したやりとりに非難が殺到した。

 動画の内容は、2024年入社の新人・上垣皓太朗アナウンサー(23)に対し、会社の先輩である西山喜久恵アナ(55)と生田竜聖アナ(36)、フリーアナウンサーの阿部華也子アナ(28)が、

「2001年(生まれ)?」「信じられない」「絶対嘘つき」

 などと容姿の印象と実際の年齢にギャップがあるなどというようにからかい、さらに、着ている「27時間テレビ」の特製Tシャツが「似合わない~(笑)」などと言っていたものだ。いずれも本番中ではなく、CM中のやりとりをピックアップし、再編集し、投稿した内容だった。

 この動画は、瞬く間にネット上で大炎上し、

〈いじりの域を超えていじめでは?〉

〈感覚が昭和のまま〉

〈みんな多かれ少なかれやられてきたからやってんだろうな〉

 といったコメントが相次いだ。YouTubeでも同様に、さまざまなチャンネルがこの動画や、アナウンサーらを批判する内容の動画を配信し、大きな視聴回数となっている。

 こうした事態を受け、フジテレビは10月31日に謝罪文を掲載。動画のコメント欄は現在閉鎖されている。

“職場でのいじり”は、一見コミュニケーションのようにも思えるのだが、「上司の『いじり』が許せない」の著者で、東京大学多様性包摂共創センター准教授の中野円佳さんは、

「職場でのいじりも、ハラスメントになる可能性がある」

 と指摘する。