New Value [3]
人体に柔軟にフィットする
炭素繊維強化プラスチック
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、ボーイング787に採用され、注目を集めた。金属材料よりも強度を備え、かつ軽量なこの素材は、燃費効率を高めるメリットがある。
北村化学産業は、強度を保持しながらも柔軟性を備え、“曲げられる”特性を持った新素材「ソフトCFRP」を独自開発。脳性まひや脳卒中片まひの人向けの短下肢装具に応用すべく、大阪府立大学、および川村義肢と共同で製品の開発に取り組んでいる(上の事例3参照)。
開発を行う同社事業開発室の山縣学担当課長は、「足底部分の素材に『ソフトCFRP』を採用することで、従来の装具では曲がらなかった足底部の可動性が増し、不自然な歩行動作が抑えられます。また、通常の装具着用時に使わない筋肉が使えるようになるなど、良い影響が確認されています」と話す。
スキー靴のように靴底を固定される違和感が消え、自然な歩行動作が可能になったのだ。強度と柔軟性を備え人体にフィットするプラスチック「ソフトCFRP」によるパラリンピック選手向けスポーツ装具開発も視野にあるという。同社の挑戦は、福祉分野でも実を結びつつある。