「国際都市・東京」として
世界レベルになれるか?
湾岸エリアも、オリンピックを契機にインフラ関係の需要、つまり、運輸、建設、土木、通信、IT関連の需要が伸びることが予測されている。
このようにインフラや宿泊施設が整ったにもかかわらず、20世紀以降にオリンピックを開催して人が増えなかったのは北京などごく少数、と指摘するのは石澤氏だ。
北京は世界同時不況と重なってしまったために、タイミングが悪かった。その他の都市は街の知名度が上がり、人を受け入れる環境が整うことで、オリンピック後はいずれも観光客が増えているという。
(写真提供:三菱地所)
「東京は英語圏でないため、これまでは情報発信が苦手だったのですが、オリンピックを契機に情報発信力が高まれば海外の投資も呼び込めるようになる。オリンピック後の方が、東京にとっては本番といえると思います」(石澤氏)
英語圏ではない東京は、確かにシンガポールや香港に比べて多少ハンディはある。しかし、シンガポールや香港は土地が狭いので、物理的に伸びる余地がない。
オリンピックを機に人と物の受け入れ態勢が整えば、アジアの中で一番伸びるポテンシャルがあるのは東京ではないか、という見方もある。
「日本は狭いように感じますが、実は不動産のマーケット規模はアメリカに次いで世界第2位です。国土は狭いけれど、マーケットの規模は大きい。物理的な面でも資本的な面でも、発展の可能性はまだまだあります。規制面で制限が多いのも事実ですが、規制が厳しいということは逆に安全性、安心度が高いということ。これをメリットとしていけば、東京はますます伸びていくと思います」(石澤氏)
「日本は極東に位置する小さな国。海外から『よく分からない』と思われています。オリンピックを契機に『よく分かる国』に変われば、発展の可能性が高まります。そのために官民一体となって頑張ろう、という感じがしますね」(吉崎氏)