証券口座業務で培った
膨大な情報を処理するノウハウが強み

 もともと金融機関向けに設計されたシステムであるが、『e-BANGO』のユーザーは一般企業にも広がっている。金融機関と同レベルの万全なシステムに対する安心感に加え、大企業の総務・人事・経理にとって大きな悩みの種である膨大な量のマイナンバーの収集業務についても高い評価を得ているからだ。マイナンバー制度の開始当初より、住友化学グループをはじめ製造業・流通・不動産・学校法人等、業種を問わず大手事業会社が『e-BANGO』を採用したが、一年経過した現在でも外食大手チェーンのすかいらーくグループなど同サービスへの乗り換えが続いている。

「金融機関の顧客情報管理を長年手がけてきた企業として、マイナンバーの管理サービスをどう設計すべきかの議論から出てきたのは、漏えいリスクを最小にするには〝ユーザー企業のマイナンバーとの接点を最小化することが必要〞という結論でした。高いセキュリティ環境の下で運営される『e-BANGO』とDSBの高品質なBPOサービスにより、ユーザー企業からマイナンバー取扱リスクを切り離すことができます」(南側氏)

 具体的には、NRIのグループ企業であり、金融機関向けのBPOサービスで長い歴史のあるDSB(だいこう証券ビジネス)グループ(以下「DSB」)がマイナンバーの収集・登録・管理および利用業務を全面的に担う。同社は1957年の創業以来、60年近くにわたって証券会社をはじめとする金融機関に向けて事務サービスを提供してきた。長い経験に裏付けられた熟練のサービスは、『e-BANGO』のマイナンバー保管・管理サービスと同様に金融機関が求める高い管理水準を満たしている。

「例えば2014年には数百万件に及ぶNISA(少額投資非課税制度)口座開設の事務代行を受託しました。一般の大手企業からも『e-BANGO』の引き合いが増えているのは、数百万件以上の事務代行にも対応できるDSBの経験と実績が高く評価されたからでもあると自負しています」(南側氏)

 ちなみに、パートやアルバイト比率の高い企業のマイナンバー収集では、勤め先や代行業者から届いた通知を家族が見て「良く知らない会社だが、本当にマイナンバーを提供しても大丈夫なのか?」と警戒されることも多いようだ。その点、DSBは、長年の数多くの金融機関向け事務代行を通じて通知に記された社名やロゴになじみがあり、安心感を抱かれることが多いという。