一方、日本自動車ターミナルの施設は、古いものでは稼働から40年近くが経過しており、毎年手厚い修繕工事などを実施しているとはいえ、老朽化による再開発の必要性が高まっている。
さらに、23区内という一等地に広大な物流用地を保有している企業として、物流の変革に対応した新たな有効活用策が求められてもいる。
関谷氏は「当社の施設は、一部で建替えを進めてきたとはいえ、いまも平屋建ての荷扱場が中心。この先50年を見据えたとき、企業としての発展や当社に課された社会的使命への貢献という意味においても、土地・空間の高度利用を通じて当社が持っているポテンシャルを活かし切ることがなによりも重要だ」と再開発の意義を強調する。
では、同社が持つ、ポテンシャルや優位性とは何か? その筆頭にくるのは、やはり23区内に65万㎡もの物流用地を持つ、立地としての圧倒的な強みだ。
いま、23区内で物流施設を新たに開発できる用地はほとんど残されていない。そのため、物流不動産などデベロッパーの多くは、首都圏では千葉や埼玉、神奈川の圏央道沿いを中心に大型物流施設の開発を進めているのが現状だ。
「その点で当社は、他社にない優位性を既に持っている。少なくとも23区内に残された数少ない物流施設のフロンティアのひとつであることは間違いない」(関谷氏)。
そうした現状認識を踏まえ、同社が打ち出したのが、新たなブランド戦略とも位置付けられる『メトロポリタン・ロジスティクス』という事業コンセプトなのだ。
(撮影/堀内慎祐、和田佳久 記事公開/2017.1.27)