トラックターミナルを超えた
"トラックターミナル"へ
日本自動車ターミナルは、2018年7月にダイナベースを完成させた以降も、長期レンジでの再開発計画を順次、進めていく考えだ。
具体的な建設時期は未定だが、葛西トラックターミナルでBTS(Build to Suit)と呼ばれるオーダーメイド型の物流施設を整備する予定のほか、京浜に次いで開業時期の古い板橋トラックターミナルについては、段階的に全面的な建替えを進めていく計画。
同社の関谷保夫社長(当時)は「トラックターミナルの機能を維持しながら再開発を進めていくため、ロングレンジにならざるを得ないが、その時々の物流ニーズを適確に見据えながら複眼的に対応していく」と語る。
長らく同社の事業の根幹をなしていた"特積み"と呼ばれる長距離幹線トラックの輸送量は、人口減少や経済の成長鈍化などによって緩やかな減少は避けられないものの、引き続き国内物流の大動脈であることには変わりはない。
関谷保夫社長(当時)
「トラックターミナル事業は当社の祖業でもあり、これからも重要な事業であることは揺らぐことはない。しかし、その一方で、物流生産性革命への貢献や、都市機能をさらに向上させていく意味でも、より時代のニーズに合った付加価値の高い土地の使い方をしていくことが重要になる。また、様々な機能を持った物流施設を複合的に展開していくことによって、既存のトラックターミナル事業自体の価値を高めていくことも可能となる」(関谷氏)と展望する。
労働力不足の現状や先行きを考えた場合、トラック運賃や作業者のコストはこれからも上昇していくことが避けられそうにない。そうなると、より生産性の高いロジスティクス・システムを組み上げることによって、システム全体を通じて効率化やコストダウンを図っていくことが求められるようになる。「当社としては、より付加価値の高い施設提供を通じて、そのためのソリューションを提供していきたい」(同)。
従来のトラックターミナルの概念を超えた「トラックターミナル」へ――。日本自動車ターミナルが見据える新たな地平は、そこにある。
(取材・文/『カーゴニュース』編集長 西村旦 撮影/和田佳久、堀内慎祐 記事公開/2017.1.27)