営業会議は基本的にゼロ
転職前に感じていた
ムダとは無縁のスマートな営業活動に驚き

 営業力強化は、ほとんどの企業にとって永遠の課題だろう。いかに優れた製品・サービスを持っていても、それが顧客に届かなければ、売上・収益には結びつかない。プロダクトライフサイクルが短くなり、異業種からの参入も珍しくなくなるなど、他社との競争が激しくなる中、対顧客の最前線に立つ営業の役割はますます重要になってきている。

 営業力強化に向け、すでに取り組みを行っている企業も多いだろう。例えば、顧客情報や営業進捗状況、さらには競合他社の情報なども集約してエクセルシートにまとめる。それらを基に営業会議で話し合い、成功・失敗例の情報も共有して次に向けた戦略を練る。さらには、インセンティブ制を導入して営業担当者間に競争意識を植えつけるなどだ。

 しかし一方で、「会議が報告だけの場になっている」「情報がしっかり共有されていない」「営業以外のことに時間を取られすぎる」など、そうしたプロセスの中に潜む数々の“ムダ”に気づいている経営者、マネージャーは少なくないはずだ。

寺本 裕一氏 株式会社セールスフォース・ドットコム
コマーシャル営業本部
マネージャー
寺本 裕一氏


鈴木 淳一氏 株式会社セールスフォース・ドットコム
セールスディベロップメント
マネージャー
鈴木 淳一氏

 Salesforceは、そうした問題を解決し、営業力強化をサポートするツールとして多くの企業に導入されているが、実は提供するセールスフォース・ドットコム自身がヘビーユーザーでもある。Salesforceを活用することで、営業活動はどのように変わるのか。他社からセールスフォース・ドットコムに転職した営業担当者はその差をどのように感じているのだろうか。「営業会議が基本的にゼロ、ということにはかなり強いインパクトを受けました」と語るのは、1部上場の大手システムインテグレーターから3年前に転職し、現在は中小企業をターゲットとした外勤営業チームを束ねるコマーシャル営業本部 マネージャーの寺本裕一氏。形骸化した営業会議に疑問を持つ人は多いだろうが、それがまったくないというのも極端すぎると思われるかもしれない。「会議ではなく数分程度のミーティングで事が足りてしまうのです」とセールスディベロップメント マネージャーの鈴木淳一氏は補足する。Webプロモーション会社の営業職から3年半前に転職し、現在は主に新規顧客からの問い合わせなどに対応する内勤営業のマネージャーを務める鈴木氏は、「ミーティングのやり方を含め、営業活動全体がとてもスマートなことに驚きました」と続ける。

 実は、セールスフォース・ドットコムで存在しないのは、「営業会議」だけではない。会議の基にもなる「エクセルシート」、上司から部下への「叱咤激励」、さらにはほとんどの企業では営業活動と不可分の存在となっている「ハンコ」「名刺フォルダ」もない。そして、多くの営業が頭を悩ませる、企画書や見積書のひな形、過去の営業記録や発注書など「何かを探す時間」もほとんどなく、その結果として「意味のない残業」がなくなったという。

 ここで列挙した「7つのムダ」が、セールスフォース・ドットコムではなぜないのか。他社の営業を経験して転職した2人の話を、7つのテーマごとに聞いていくことで、ムダを排除して営業力強化につなげる道筋が見えてくる。

Keywords

セールスフォース・ドットコム
世界最大のクラウド型CRM(顧客管理)ベンダー。大手企業から中堅・中小企業までSFA(営業支援)、CRM(顧客管理)、カスタマーサポートなどに利用されている。また、常に使いやすさを追求し、お客様からの要望などにもすぐに対応。年に3回のペースで製品に反映し、無償のバージョンアップで時代の変化にも対応した最新のサービスを提供している。

●Salesforce
クラウド型CRM(顧客管理)のアプリケーション。Webブラウザーなどへのアクセス手段があれば、PC、スマートフォン、タブレットなどのさまざまなデバイスから場所を問わず利用できる。また、営業やマーケティング支援、文書管理やデータの集計・分析など多彩な機能を多数備えており、自在にカスタマイズが可能。企業全体の営業力をアップさせることができるアプリケーションとなっている。

●Chatter
クラウド型のコラボレーション支援ツールであり、オフィスでの共有スタイルを変える企業内SNS。プロジェクトや商談のステータス、プレゼンテーション資料などをリアルタイムに収集・把握することができ、社内の情報共有のスピード化に欠かせないツールの一つとなっている。セールスフォース・ドットコムが提供するすべてのアプリケーションで利用が可能で、上記のSalesforceにも搭載されている。