コメは生鮮食品という向きもあるが、肉や魚、生野菜と同等にダメージを受けやすいとはいえず、冷凍冷蔵輸送のような厳しい鮮度保持は求められない。ことに寿司飯用となると収穫後間もない新米よりも、やや年月を経たいわゆる古米のように、やや水分を失ったものが好まれることがある。乾いた古米の方が酢を吸収しやすく馴染みやすいとさえ言われるのだ。となれば輸送は迅速に行われる必要はなく数ヵ月を要したとしても、鮮度と品質に問題はなさそうだ。

瑞穂実る国のコメを
9000km離れた地へ輸出する法

 問題は直線にして9000kmも離れた遥か彼方の地へ、輸送コストの上昇に注意を払いながらいかに効率的に運ぶかである。

 物流の最初の出発点となる日本列島側の輸出の拠点は、日本海側の重要港湾である新潟県周辺がいいだろう。コメの一大生産地であるのみならず、各地で生産されたコメを陸路あるいは海路で運び集積する基地として利便性が期待できそうだ。いにしえの江戸時代、西回り東回り航路の千石船が悠々と日本海を闊歩したであろう浮世絵のような風景とも重なって来る。

 日本側の拠点に対してその最初の中継地点となるユーラシア大陸側の港は、極東ロシアがいいだろう。新潟県とは歴史的にも交流、交易上の繋がりがあり、かつて十数年前には中古自動車が新潟から極東ロシアのナホトカの港などに向かって海路運ばれたというエピソードも記憶に蘇ってくる。

 輸出米は極東ロシアに到着し、ここに築かれた最初のストックポイントで玄米のまま、あるいは精製米として鮮度維持に配慮した設備の下で保管する。そこから極東ロシアの街々へ、さらに西を目指しシベリア鉄道でロシアの首都モスクワを目指す。

 このシベリア鉄道の終点あたりに第二のストックポイントは築かれる。ここで欧州各国に向けて仕分けされる。モスクワからスロバキアの首都ブラティスラバは陸路で約1500km。ロシア、スロバキア両国は旧社会主義諸国として経済的な繋がりが深いものと推測すれば、鉄道以外にも自動車道など既存の輸送手段を利用できそうだ。ブラティスラバへの配送は実現できそうだ。

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シベリア鉄道がライスレイルロードに!?

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