TPP頓挫の一方で進む
EU(欧州連合)とのEPA
米国トランプ政権で頓挫してしまったTPP(環太平洋経済連携)。一方で日本とEU(欧州連合)の間でメガEPA(経済連携協定)の話も進んでいる。
最初のステップとして進められているのが、日本側が求める自動車と部品の関税撤廃、欧州側がバター、チーズをはじめとした乳製品の税率引き下げである。いずれの製品群も障壁がなくなれば、各々の自国産業への影響は計り知れないものが予想され、慎重な議論が時間をかけて進められている。
そんな中、産経新聞が7月10日付で、EUが福島県産のコメに対する輸入規制を解除することを検討しており、今秋にも決定する見通しと伝えた。現在は、福島県産米の規制と共に、他県産米は「福島県産ではない」旨の産地証明書を添付しなければならない状況だが、これらの規制が解除されるとなると、日本のコメの輸出拡大に大きく貢献しそうである。
もとより、日本食ブームに乗ってコメの輸出が行われるようになってきたが、現状は高価なブランド米を高級レストランや高級食材の販売店に向けたケースが主であり、輸出先も中国大陸の大都市、香港、シンガポールといった富裕層向け需要が期待できる地域に限られている。市場は富裕層と米飯食に慣れた地域に限られ、高価格の日本産と安価な現地産との競争に陥る市場で、大きな成長は期待できない。
それだけに米飯食にそれほど馴染んでいない地域、とりわけ欧州への輸出を目指すのは、戦略的にも有効であろう。