写真はイメージです Photo:PIXTA相続が発生してから慌てて税理士に駆け込んでも、生前にやっておかなければ効果が発揮できないことがあります。本記事は、父が存命中に税理士へ相談したことをきっかけに、「たった一つの行動」によって、相続税の負担を劇的に軽減できた事例を紹介します。(執筆/ライター 岩田いく実、監修/いちよう相続・税務サポート 田澤広貴税理士)
「相続税って高いの?」
長男・健一から父への電話
神奈川県在住の田中一郎さん(仮名・当時75歳)は、妻を数年前に亡くし、郊外の一軒家で一人暮らしをしていました。足腰は元気なものの、肺がんがゆっくりと進行。近所への外出がおっくうになってきたころ、長男の健一さん(仮名・当時48歳)からある日、深刻な声で電話がかかってきました。
「父さん、友人のお父さんが亡くなって、相続税が思ったより高くて困ってるって聞いた。うちも大丈夫かな、と思って……」
一郎さんも、相続について漠然とした不安を持っていました。妻が生きていたころは「配偶者の税額軽減があるから大丈夫」と思っていましたが、妻が先に逝ってしまった今、その特例は使えません。
一郎さんの財産は、自宅の土地と建物(土地の評価額4000万円、建物の評価額800万円)・預貯金2000万円・有価証券600万円などで合計7400万円。相続人は長男・健一さんと次男・勇也さん(仮名・当時45歳)の二人です。
「一度、税理士さんに見てもらおう」。そう決断した一郎さんは、健一さんと税理士事務所の門をたたきました。
相談前のシミュレーション
「約380万円の相続税」という現実
担当税理士がまず行ったのは、現状の相続税額の試算です。相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
相続人が長男・次男の二人であれば、基礎控除は3000万円+600万円×2人=4200万円。遺産総額7400万円からこれを差し引いた課税遺産総額は3200万円です。
法定相続分に従って長男・次男それぞれ1600万円ずつ取得したと仮定すると、法定相続分に応ずる取得金額が1000万円超3000万円以下の場合、税率15%・控除額50万円が適用されます。各自の算出税額は1600万円×15%-50万円=190万円。
二人分の合計で、相続税の総額は約380万円となります。
「約380万円。これが、今のまま相続が発生した場合に納める税金の概算です」
担当税理士が算出した数字は、現実的な重みを持って二人に示されました。



