技術による問題解決は
デバイス選びから始まる

 ITは企業の生産性を上げるツールではあるが、中小企業はどのようにして活用していけばよいのだろうか。甲斐氏が提案するのは、業務内容に応じた最適なデバイス選びからやり直すということだ。甲斐氏は「デバイスの観点からは社員の働き方は大きく四つに分けられます」と話す。

 営業やマネジメント層が、どこにいても社内と同じ環境で仕事を行える「モバイルワーク」。ここには家や喫茶店などの環境も含まれる。業務ソフトをいくつも同時に広げて仕事を進めるような「インテンシブワーク」。クリエーターなどグラフィックパワーを要する「グラフィック&ハイパフォーマンス」。そして、会議室などで使用する「コレボレーション」である。

若者に選ばれる企業の条件図 四つの働き方と最適なITデバイス
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 この四つのタイプによって最適なデバイスは当然異なる(図)。モバイルワークなら持ち運びやすい軽いノートPCや、タブレットにキーボードを付けるようなデバイスだが、帳票などの業務ソフトをいくつも広げて作業するには、大画面のディスプレイを複数使うような環境づくりが効率を高める。「この人にはこういう仕事をしてほしいという『想い』があれば、おのずと適したデバイスや環境がどういったものなのかが見えてくるはずです」と甲斐氏は語る。デバイス選択の出発点は実は社員の仕事に対する経営者の想いにあるのだ。

 くわえて、どんな業務、デバイスにも共通して外せないのがセキュリティだ。企業内にセキュリティ対策を施すだけでなく、仕事がどんどん外に出ていくこれからの環境の中で、外に出るデバイス自身に防御線を持たせることで、安心して社外でも仕事ができる。セキュリティが担保できないから、働き方改革をやめるというのはナンセンスだ。

 そうは言っても、サイバー攻撃の手口は日に日に巧妙化している。甲斐氏は、「新しい手口と、対応する新しいテクノロジーの開発はイタチごっこです。攻撃を予防するだけでなく、万が一攻撃を受けた際には被害を最小化させる機能を備えていることも重要です」と、デバイス選ぶ際に考慮すべき、新たな基準を提案している。